健康を蝕む、睡眠に関する6つの誤解 アルコール、いびき、慢性的な寝不足…

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人生の3分の1を占めるともいわれる睡眠は、健康と寿命、そして日々の生活の充実度に大きく影響する。しかし、これほど身近な存在でありながら、 誤解されていることがらも非常に多い。より活動的で充実した毎日を送れるよう、睡眠に関してありがちな6つの誤解を検証してみよう。

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◆誤解1.お酒を飲むと熟睡できる
寝る前にアルコール類を飲むと早く眠ることができることから、お酒は睡眠に有益だとも考えがちだ。しかし、実際には眠りの質が悪くなってしまうため、寝る前の飲酒は好ましくない。正確に述べるなら、入眠の助けにはなる可能性があるが、その後一晩の眠りの質が低下してしまう。とくに記憶の定着に重要なレム睡眠が阻害されるほか、尿意のせいで眠りが浅くなる傾向もある。睡眠時無呼吸症候群を誘発する可能性もあるので、アルコールに頼って眠りにつく習慣は絶った方がよさそうだ。

◆誤解2.毎晩5時間前後の睡眠でも十分である
仕事に趣味にと多忙を極めると、睡眠時間が5時間を切ってしまうこともあるかもしれない。5時間眠れば急場をしのぐのも不可能ではないが、健康を着実に蝕むことになる。睡眠不足が慢性化すると、高血圧、心筋梗塞、認知機能の低下、うつ、糖尿病、肥満などのリスクが上昇する。睡眠時間には個人差もあるが、一般的な成人であれば毎晩7〜9時間の眠りが必要だ。10代の若者では最大9時間強の眠りを必要とすることもある。健康のために必要な眠りの時間を軽視しないよう気をつけたい。

◆誤解3.夢を見たのでよく眠れたはずだ
いろいろな夢を見た翌朝は、充実した眠りだったと感じてしまうこともあるだろう。しかし、それは必ずしも正しくないようだ。多くの人は毎晩睡眠中に夢を見ており、違いはそれを覚えているかいないかだ。さらに、夢は浅い眠りであるレム睡眠中に見ることが多く、深い眠りと特別に関係があるものではない。睡眠を助けるメラニン凝集ホルモンが活性化しよく眠れた晩ほど、夢が記憶に定着しにくくなると考える研究者もいる。もちろん夢そのものが健康に悪いわけではないが、夢を見たからといって眠りが足りていると誤解するのは危険だ。

◆誤解4.二度寝をすると短時間で睡眠を補える
寝足りない朝にはスマホや目覚まし時計のスヌーズボタンに手を伸ばし、5分や10分など小刻みに眠りを延長しがちだ。幸せなまどろみの時間である一方、眠りの質という意味ではあまり有意義な時間の使い方ではないかもしれない。スヌーズの後の短時間に再び眠りへと落ちるが、それは非常に浅く質の低い眠りとなる。思い切ってベッドから抜け出し、カーテンを開けることが心地よい起床への第一歩だ。日光を浴びることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制される。

◆誤解5.寝る前にテレビを見るとよく眠れる
寝る前にリラックスすることは眠りに大変効果的だ。しかし、テレビやスマホなどで動画を視聴することは、夜の休息法としてはあまりお勧めできない。青みを帯びたブルーライトが目に入ると、まだ日中の青空が広がっている時間帯なのだと脳が錯覚し、睡眠リズムを狂わせてしまう。また、ニュース番組や動画などを観ると、内容によっては神経を昂らせてしまうことになる。可能ならば読書やストレッチ、そして入浴など、目と心への刺激が少ないリラックス法に切り替えたい。

◆誤解6.いびきは他人に迷惑となるが自分には無害である
いびきが他人に申し訳ないと感じながらも、放置していないだろうか。大きないびきが慢性的に続く場合は、必ずしも全部が全部というわけではないものの、気道が塞がれてしまう睡眠時無呼吸症候群を患っている場合がある。とくに日中に眠気または疲労感が残る場合は、その可能性が高い。夜間に一時的に呼吸が停止することで、高血圧や不整脈、心臓発作や脳卒中などの症状を引き起こす場合がある。心当たりがある場合は、早めに睡眠専門の医院を受診した方がよいだろう。

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Text by 青葉やまと