睡眠時の「口閉じテープ」の効果と注意点 鼻呼吸でさまざまな健康上のメリット

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寝ているあいだに口で呼吸をすると、眠りの質の低下や、いびき・口臭などの原因になることがある。睡眠中のクセだけに意識して治すことが難しいが、テープで口を閉じるだけのかんたんなテクニックで改善できる場合があるようだ。マウステーピングの正しい方法と注意点を確認しておこう。

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◆鼻呼吸には健康上のメリットが
就寝中も鼻で息をするのが望ましいが、何らかの理由で口を半開きにしての呼吸が習慣になってしまうことがある。酸素を取り入れられれば問題ないというわけではなく、口呼吸には健康上のリスクが指摘されている。米エブリデイ・ヘルス誌(2019年2月28日)は2013年の研究論文をもとに、高血圧、心臓病、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性があると述べている。ほか、心臓と脳への酸素の供給量が十分でない場合、喘息の悪化や認知機能障害などのリスクが高まってしまう。さらに、ニューヨークの耳鼻科医であるスティーヴン・パーク医師は同誌に対し、口内の雑菌が繁殖しやすくなると述べている。パーク医師の見解としては、甘いものの食べ過ぎよりも、口呼吸の方が虫歯の原因になりやすいのだという。

スリープ・ファウンデーション誌も、口呼吸を改善することの重要性を説く。改善により睡眠の質が上がり、いびきや疲労感の低下、集中力の欠如などを緩和できたという声が聞かれるようだ。喉の渇きを感じることも少なくなるほか、口臭の改善効果も期待できる。

◆口にテープを貼るだけ
マウステーピングの方法はシンプルだ。米ヘルス・ライン誌は、まずは医師に相談し安全性を確認するよう勧めたうえで、やり方を次にように紹介している。事前準備として唇と周囲の狭い範囲にワセリンを塗り、テープによる皮膚への刺激を抑える。あとは唇のうえからテープを貼るだけだ。専用のマウステープを使うと良いが、同誌はガーゼの固定などに使われるサージカルテープでも代用可能だとしている。専用テープの方が皮膚への刺激は少ない。なお、海外では幅広のテープを唇と並行の向きに貼る場合が多いようだが、日本で市販されている製品は縦向きに貼るものが多い。製品に応じた使い方をすると良いだろう。

ちょっとした手間で睡眠の質などを向上できることから、皆が知っておくべきだと推奨する専門家もいる。睡眠にも詳しいカリフォルニア州のマーク・ブルヘンヌ歯科医は、鼻呼吸によって副鼻腔での一酸化窒素の生成量が増加すると解説している。これにより、炎症の緩和、睡眠の改善、記憶力の向上、免疫力の強化などにつながると考えられている。ブルヘンヌ医師はエブリデイ・ヘルス誌に対し、「このシンプルなテクニックは歯ブラシと同じくらい重要です。誰もがもっておくべきツールなのです」と述べ、簡単で効果的な方法だと紹介している。

◆実践した感想は
口を固定して眠っても、果たして熟睡できるのだろうか? エブリデイ・ヘルス誌の記者は、自ら試した経験を綴っている。サージカルテープで口を閉じて寝たところ、最初の夜は緊張感と不快感を覚えたという。しかし、不眠気味だという彼女は、翌朝その効果に驚いたようだ。「次の日の朝に目覚めたとき、奇妙なことが起こりました。思い出せる限りで初めて、寝不足による疲労感を感じなかったのです」と述べ、数十年来の睡眠の質の悪さが改善されたとしている。これはかなり極端な例であり、効果の発揮には通常は1週間ほど要するといわれている。同誌記者の場合も7日目くらいからさらに深い眠りを実感できたようだ。

マウステーピングの効果を実感する声が多く聞かれる一方で、このテクニックについては医学的にまだ十分な検証が行われていない。ヘルス・ライン誌は、重度の鼻詰まりがある場合には口をふさぐべきでないと注意喚起している。また、テープによって唇などにかゆみや不快感などを催すことがあるほか、睡眠に集中できなくなる場合もある。また同誌は、睡眠時無呼吸症候群の治療効果をうたったマウステーピング用のテープが販売されていることがあるが、マウステーピング法そのものに治療効果があるわけではないとして注意を促している。どのような作用を期待してマウステーピングを行う場合も、まずは医師に相談し、期待できる効果と安全性を把握しておきたい。

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Text by 青葉やまと