寝不足で高齢者の認知症リスク上昇 睡眠5時間以下は2倍 米調査

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◆寝つきにくい体質も要注意
入眠までに時間がかかるという人も、認知症への警戒を怠らない方が良さそうだ。アンケートに回答した人々のうち、ベッドに入ってから15分かからずに眠ることができるという人々が5割強を占めている。対して、15分から30分かかるという人々が3割、それ以上かかる人が2割弱ほど存在する。研究チームでは、この傾向と認知症のリスクの関連を分析した。すると、入眠に15分かからない人々を基準とした場合、15分以上30分未満の人々は認知症リスクが22%高いという結果が出ている。30分以上かかる人々に至っては45%高い。

本研究では相関関係が発見された段階であり、因果関係が証明されたわけではない。このため、「睡眠不足や睡眠障害が原因となり、その結果として認知症リスクが上昇している」と現段階で断言することはできない。ただし研究チームは「因果関係を示してはいないものの、我々のデータは(若年層だけでなく)高齢者にとって睡眠が重要であるかもしれないという観点を示している」と述べている。幼少期と青年期には7〜8時間の睡眠がとくに大切であるとされているが、大人になってからも睡眠時間をないがしろにはしない方が良いのかもしれない。

◆一般的な死亡率も上昇
研究では寝不足と認知症リスクの関連だけでなく、あらゆる死因を含めた5年生存率の低下も確認された。慢性的に5時間以下の睡眠しか取っていない人々はそうでない人々よりも、5年以内に死亡する危険性が高いという結果が出ている。そのほか、睡眠障害を患っている人々も同様の傾向にあるようだ。代表的な症状として挙げられているのは、集中力の維持が常に難しい状態にあること、日常的によく居眠りすること、そして睡眠の質が悪いと本人が感じていることなどだ。こうした人々も睡眠時間が5時間以下の人々と同じく、死亡のリスクが高いという。

なお、今回の調査では65歳以上を対象としており、高齢者に重点を置いた研究となっている。しかし、高齢者でなければ大丈夫だと言い切れるものでもない。若いうちに睡眠習慣が乱れてしまうと、高齢になってからさらに苦労することは十分にあり得るだろう。「まだ大丈夫」と油断せず、規則正しい睡眠サイクルを心がけたい。

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Text by 青葉やまと