満月の前は睡眠時間50分短く 満ち欠けにあわせ変動 米研究

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◆科学的に見てもあり得る現象
 満月が人間の睡眠に影響するというのは不思議だが、専門家は十分に説得力のある話だと捉えているようだ。健康情報を扱う米ヘルス・ライン誌は今回の調査結果とともに、精神医療と睡眠の専門家であるアレックス・ディミトリ博士の見解を伝えている。博士によると、睡眠調整ホルモンであるメラトニンの働きは、何らかの光を見ることで抑制される。そのため、月光が多く降り注ぐ満月が近づくと眠気が抑制されることは十分に考えられるという。

 また、論文のなかで研究チームは、人類が遊牧生活を行っていたその昔には、月光のない晩には日没後は活動できなかったと述べている。活動しやすい満月付近の夜にだけ遅くまで起きているという習慣が、私たちにも受け継がれている可能性がありそうだ。

 不思議なのは睡眠時間が短くなるピークが満月の夜ではなく、その3〜5日ほど前の晩となっていることだ。その理由について、論文の共著者の一人は、満月が近づくにつれて夕方など早い段階で月が顔を出すようになり、日が沈んでからも活動を続けやすいからなのではないか、という考えを示している(米ワシントン・ポスト紙)。

◆自然な環境で証明
 月による睡眠への影響はこれまでにも調査が行われてきたが、米ワシントン・ポスト紙は、過去の研究の成果は互いに矛盾してきたと指摘する。これまでの論文のなかには睡眠サイクルへの月による影響を肯定するものもあれば、関連なしと結論づけるものもあった。今回の研究を主導したワシントン大のレアンドロ・カシラギ博士は、人々が自然に生活する環境において月齢との関連が確認された意義を強調する。従来の研究は被験者をラボに寝かせる形で行われてきたが、今回は人々の実際の生活により近いデータを取得し、結果として関連性が肯定された形となる。

 ただし、なぜ月が影響するのかという謎への答えはまだ出ていない。月光を頼りに夜間の活動を行っている環境ならまだしも、人工的な照明に満ちた都市部では、月光がなくとも活動に支障はないはずだ。月齢が都市部の人々にも影響するという結果には、研究グループ自身も驚いたという。ヘルス・ライン誌は、月の重力の変化に身体が反応しているのかもしれないという仮説を紹介している。満月の夜に活動していたはるか昔の記憶が残っており、月の重力の変化を察知することで、月あるいは人工照明に対しての感度が上がるのではないかとする説だ。ただし月の重力の変化も相当に弱いことから、この説には反論もある。不思議な現象の真相解明には、さらなる研究を待つことになりそうだ。

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Text by 青葉やまと