やっぱり草薙素子役はアジア人がいい? ハリウッド版『攻殻機動隊』に不満続出…嘆願書も

攻殻機動隊

 1989年の連載開始から25年以上にわたって国内外で根強い人気を誇る、日本を代表するSF漫画『攻殻機動隊』のハリウッド実写版『Ghost in the Shell(原題)』のビジュアルが公開された。同映画は、米国で来年3月末に公開予定。

 主役の『草薙素子』に白人のハリウッド女優スカーレット・ヨハンソンが配役されたこと、そして物語の舞台が日本から北米に移される可能性があることから、国内外のファンから強く批判されている。

 一応、脇役の荒巻大輔役には北野武、その他にも配役は未定だが桃井かおりも出演する予定になっており、日本人俳優も全く登場しないわけではない。しかし、肝心の主役を白人女優が演じる憤りを感じている人は多いようだ。

◆“ホワイトウォッシュ(白人化)反対”の嘆願書には7万超の署名
 今回の配役に抗議するため嘆願書も作成されている。「ドリームワークス:アジア人キャラクターのホワイトウォッシュ(白人化)をやめろ!」と題された嘆願書には、18日時点で9万を超える署名が集まっている。

 この嘆願書を作成したJulie Rodriguez氏は、「最近実施されたある調査によると、2013年時点で、ハリウッド大作に登場するセリフのある役のうち、アジア人俳優が占める割合はたったの4.4%でした。この市場で輝けるチャンスが少ないアジア系アメリカ人俳優のために、ドリームワークスはこの映画を利用してチャンスを提供できるのではないでしょうか。どうかこの嘆願書に署名してください。そしてドリームワークスに対し、今一度、『攻殻機動隊』のスカーレット・ヨハンソンの配役を再検討し、本当に相応しい俳優を選択するよう訴えましょう」という力強いメッセージを掲載し、署名への協力を呼びかけた。

◆「菊地凛子という名女優がいるのに」多くのファンから批判の声
 米メディア『Mashable』は、香港系アメリカ人女優ミン・ナ・ウェンの「スカーレット・ヨハンソン自身には不満はないの。実際に私は彼女の大ファン。でも、今回の“アジア人役のホワイトウォッシュ”には大反対」というツイートを引用して紹介。

 その他にも、今回の“ホワイトウォッシュ”を批判している一般ユーザーのツイートを多数掲載した:
「これが映画『攻殻機動隊』の初公開のビジュアルだって。もっと草薙素子に適役の女優を探せたんじゃないのかって、まだ考えちゃうのよね」
「2016年の今。ハリウッドが考える“草薙素子”が、これだ。」
「ハリウッドはこの2日間、あの手この手で私を怒らせようとしてくるようだわ。もし菊地凛子がこの役を演じることになったらどんなに素晴らしいか、とも思うよね」

 このように、今回の配役は国籍人種問わず世界中の多くの人々の逆鱗に触れてしまったようだ。ハリウッドは、あの『ドラゴンボール』の苦い経験を忘れてしまったのだろうか……?

 根強い原作ファンを多くもつ漫画は、日本国内で映画化した場合であっても、失敗する可能性が高いと言われている。しかし、『るろうに剣心』『デスノート』など、原作の世界観を最大限尊重しながら丁寧に作られた映画は、原作ファンからも評価が高かった。100%忠実に再現するのは難しいにしても、原作への愛やリスペクトは、映画全体から滲み出て自然と観客に伝わっていくものだ。ハリウッドの映画界には、原作漫画の人気や話題性に乗っかるだけではなく、その作品が持つ独自の世界観やファンの思いを大切にして欲しい。

Text by 月野恭子