“ケーキ史上最高または最低”? 日本発のサラダケーキが海外でも話題に ポスト寿司に!?

「新たな“スシ”となるのか?今後の進展を見守りたい」(英テレグラフ紙)

 日本人のフードデザイナーが開発した、見た目にも美しい芸術的な“サラダケーキ”が今海外メディアの注目を集めている。一見、砂糖たっぷりの甘いケーキに見えるのだが、実はほぼ野菜でできているという。スポンジケーキには大豆粉を、アイシングにはクリームチーズや潰した豆腐を使用。野菜の色素を活かした、色鮮やかでお洒落なデザインは、パーティーメニューとしても喜ばれそうだ。

 各海外メディアに考案者として紹介されているのは、愛知県出身の食スタイルデザイナー・ホリスティックヘルスコンサルタントの森安美月氏。森安氏は、“食と健康”のスペシャリストとして低糖質&グルテンフリーのメニュー開発などを行ってきた人物だ。英デイリーメール紙は、「森安氏の考案したこのメニューは大変人気があり、サラダケーキを販売するカフェ『べジデコカフェ』を今月オープン予定(編注:5日にオープン)」として、日本では今サラダケーキがブームになっていると紹介した。

 美しいサラダケーキの写真とともに、「綺麗」「ゴージャス」などの褒め言葉が踊っているが、中には批判的な意見も……。海外メディアの正直な声を一部紹介しよう。

◆グルテンフリーでシュガーレス…なのにお洒落
 英テレグラフ紙は、「常にグルテンフリーのケーキを食べたい?それなら、日本で新しくブームになっている“サラダケーキ”がお勧め」と、健康志向の人々へ新たな選択肢として紹介した。このサラダケーキは、前述のとおりスポンジ部分に大豆粉を使用しているためグルテンフリー。さらに、砂糖や脂質もほぼ含まれていない点が大きく注目されている。

 英デイリーメール紙も、同じくグルテンフリー・ノンシュガー・ノンファットである点を強調。「このサラダケーキは毒々しく見えるかもしれないが、実はとってもヘルシー。つまり、簡単に言うと、“美味しいケーキ”のふりをした栄養満点のサラダなのだ」と説明した。健康志向のメニューには、見た目が質素で飾り気のないものが多い。それゆえ、華やかさも兼ね備えたサラダケーキが殊更に注目されたのかもしれない。

◆見た目は美しいが味はどうなのか?と疑う声も
 美しく健康的と絶賛されているこのサラダケーキだが、肝心の味については言葉を濁しているメディアが目立った。前述の英デイリーメール紙は「ケーキを食べた時に感じるいつものシュガーラッシュ(甘いものを食べた時の幸福感)を期待しているのなら、注意が必要だ。これらのサラダケーキは、普通のケーキみたいに甘いバターは含まれていない」と注意を促した。

 英国版マリ・クレールのウェブサイトでは、Ellen Stewart氏が「サラダケーキは、ケーキ史上最高または最低のものとなるだろう」というタイトルで寄稿。日本で今ブームになっていると紹介した後、「見た目は素晴らしいけれど、パーティーの招待客はこれを食べたらがっかりするかもしれません。甘いお菓子だと思って食べたら、ただの健康食品だったと思うのでは」とバッサリ。英メディア『The Debrief』に至っては、「ケーキのふりをしたサラダに我々は皆困惑している」というタイトルで、「キャロットケーキやズッキーニケーキは、これまでにも長い間ケーキ職人の間で愛されてきたメニューだ。しかし、それらのケーキと今回のサラダケーキの大きな違いは、甘さの有無だ。そこでこのような疑問が頭に浮かぶ。“ほんの少しの罪悪感を伴う喜びまで奪ってしまったら、一体何が楽しくてケーキを食べるというのか?”」と、サラダケーキの存在意義まで疑っていた。

 皆さんは、海外のお菓子を口にした際に、あまりの甘さにびっくりした経験はないだろうか?一般的に、日本人は素材本来の味を活かした、控え目な甘さを好む傾向にある。サラダケーキが日本で好評なのは、見た目のお洒落っぽさ以外にそういった理由もあるのかもしれない。シュガーレスのサラダケーキは、今後海外で“寿司並み”に普及するのだろうか。英テレグラフ紙と同じく、筆者も今後の進展を見守りたい。

Text by 月野恭子