“マリオとともに成長できて幸せだった”スーパーマリオ30周年、海外から懐古の声

 任天堂のゲーム「スーパーマリオブラザーズ」が発売開始から30周年を迎えた。全世界での累計販売本数は4000万本を超え、かつては「世界一売れたゲーム」のギネス記録も保持していた。スーパーマリオと出会った衝撃は、今も世界の多くのゲーマーの胸に残っているようだ。

◆任天堂をビッグにしたスーパーマリオ
 スーパーマリオの国内での発売日は1985年9月13日。その後、北米などでも、ファミコンの海外仕様である「ニンテンドー・エンターテインメント・システム」(NES)の同梱ソフトとして出荷が始まった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)ブログ「日本リアルタイム」は、スーパーマリオは発売後すぐに世界的ヒットになった、と伝える。CNNは、このゲームによって任天堂は著名になった、としている。なお、4000万本以上という数字は同梱版も含めたものだ。

 作家のジェームズ・ケネディ氏はかつて、WSJの書評欄で、「1985年当時、このゲームがどれほど驚くべきものだったかを説明するのは難しい」と述べている。

 WSJは、その後のシリーズ展開についても触れ、ゲームボーイからWii Uまで、任天堂が新ハードを出すたび、同シリーズの新ゲームが発表されたと伝えた。なお、シリーズ全体での販売本数は3億本以上に上る(朝日新聞9月12日)。

◆世界で愛されるマリオ
 主人公マリオへの海外メディアの注目度は高く、マリオが世界で愛されていることをうかがわせる。カナダ紙グローブ・アンド・メールが「マリオに関する小ネタ30」を掲載したかと思えば、CNNも負けじと「マリオの5大晴れ舞台」を掲載する。

 CNNは、マリオは「テレビゲーム界でミッキーマウスに一番近い存在」だと語っている。マリオはゲーム一般の、すぐに認識できるシンボルだとも述べている。

 グローブ・アンド・メールの記事から一部を抜粋すると、

・マリオの生みの親は日本の伝説的ゲームデザイナー宮本茂氏(現・任天堂代表取締役専務、クリエイティブフェロー)。1981年のアーケードゲーム「ドンキーコング」が初登場だった。
・デビュー作の「ドンキーコング」では配管工ではなく大工だった。
・マリオは当初「ジャンプマン」として知られていたが、後に、シアトルの任天堂が使用していた土地(倉庫)のイタリア系アメリカ人の貸主、マリオ・セガール氏にちなんであだ名が付けられた。
・マリオはこれまでに200以上のゲームに登場している。
・1983年、シリーズ物アニメ「ドンキーコング」でアニメ番組に初登場。
・ドンキーコングの初期の宣伝資料では、帽子をかぶっていないマリオが登場するが、驚くなかれ、彼はハゲだった! しかし幸いにも、任天堂は、マリオがファミコンで大々的にデビューするにあたって、フサフサの頭が必要だと決めた。

 
◆スーパーマリオがアメリカでのNESのヒットの原動力になった?
 アメリカでのNESの発売当時、「デラックスセット」と普及版の「アクションセット」があったが、普及版のほうではスーパーマリオが同梱されていた。CNNはこのことを踏まえて、スーパーマリオがNESを世に送り出した、と語っている。
 
 NESはアメリカのゲーマーにとっても革命的だったようだ。NESはアーケードゲームのグラフィックスと楽しさを家庭にもたらした、とCNNは語る。それ以前のAtariなどのゲーム機は、いくつかのアーケードゲームをブロック状のグラフィックスで再現した低品質バージョンだった、と述べている。
 
◆スーパーマリオの思い出
 ゲーム情報を中心としたエンタメブログメディア「Kotaku」(US版)では、ある記者が、自身とスーパーマリオの出会いを語っている。記者が初めてスーパーマリオをプレイしたのは、地元のバーで、そのバーにはファミコンのゲームができるアーケードマシンが置かれていたそうだ。当時12歳の少年だった記者は、バーにこっそり入ってプレイしていたという。記者はスーパーマリオに驚き、さらにその後1年ほどたって、自宅でNESを使ってプレイできることを知って驚いたという。

 記者は、読者にもスーパーマリオの思い出をコメントするよう促している。寄せられたコメントの一部をかいつまんで紹介しよう。

・小さかったので最初にプレイした時のことは覚えていない。でもあの8ビット・サウンドのBGMを永久に頭に焼き付けられた。
・ワープゾーンを発見した時は興奮した。
・今の世代は主にネット対戦のゲームをプレイしている。まだ誰も持っていない新ゲームを自分が入手した時、ご近所の半分ほども家にやってくるという経験をすることは決してないだろう。
・最初からマリオとともに成長したこと、NESでゲームを始められたことは幸せだった。マリオ、ゼルダ、ドラクエ、FF、メトロイドその他諸々を、リアルタイムに新作で経験できた。
・(初めてプレイしたのは)30年前。自分も年を取ったな。

Text by 田所秀徳