「ゴジラ」は社会派映画だった? 意外に知られていない誕生秘話に海外メディア注目

 今月、ハリウッド制作「Godzhilla(ゴジラ)」(2014年度版)の新しい予告編が公開された。去年12月に初回予告編が公開されたが、今回は新たなシーンも追加され、世界的に有名な巨大怪獣ゴジラの最新映画に期待が高まっている。

 今年は日本が誇る「ゴジラ」がスクリーンに誕生してから60周年を迎える。「ゴジラ」はどのように、またなぜ生まれたのだろうか。

【ゴジラ誕生秘話】
 あまり知られていない「ゴジラ」の誕生秘話に関し、海外メディアからも注目が集まっている。

 ハフィントン・ポスト(米国版)は、水爆実験で蘇生した古代生物「ゴジラ」は「被爆者」であると述べた。放射能に対する日本人の恐怖と当時なお続いていた原子爆弾の影響が、「ゴジラ」誕生の背景にある、と同メディアは指摘している。被爆者は偏見に苦しみ、社会から疎外された生活を送っていた。しかし、ゴジラほど大きな被爆者は見過ごされることはない。彼は放射能の破壊力を思い出させ、核兵器の恐ろしさを伝えることができる。

 「ゴジラ」は、単なる怪獣映画ではなく、当時の社会問題を映し出しているのだが、海外版「ゴジラ」ではそれらの点は割愛されている。

【連合軍統治の影響】
 『ニューヨーカー」の記者は、オリジナルの「ゴジラ」と海外配給版「ゴジラ」を比較し、「驚いた」と述べている。「ゴジラ」は、子供の映画ではなく、政治やロマンス、良心の葛藤等を交えた、真面目なドラマだったのだ。

 海外版「ゴジラ」では、水爆実験、核兵器の脅威、それらに対する日本のトラウマ等は大きくトーンダウンされている。また、広島と長崎への原子爆弾投下に対する日本人の苦々しい気持ちも削除されている。

 ハフィントン・ポストはその理由として、1952年まで続いた連合軍による日本統治の影響を指摘している。連合軍による統治時代、原子爆弾の影響を詳細に報道する事は禁じられていた。原子爆弾に対して注意が向きすぎると、日本の民主化への努力が頓挫し、アメリカの権威が失墜するためであった。さらに、当時アメリカが日本をベトナム空爆攻撃の基地として使用していた背景もある。

 2014年版の「Godzilla」はオリジナルの「ゴジラ」の精神に忠実であるという。また、大規模な怪獣バトルも期待されている。

 「Godzhilla」(ギャレス・エドワーズ監督、ブライアン・クラストン、エリザベス・オルセン、渡辺謙主演)は、海外は5月16日、日本は7月25日から公開となる。

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Text by NewSphere 編集部