ディズニー、“トイレの滞在時間までわかる”マジックバンドの導入開始 便利さとプライバシーに関する懸念とは

 ディズニーは約1年前、紙のチケットを廃止し、“マジックバンド“というシステムを実施すると発表した。マジックバンドとはチップが埋め込まれた、スキャン可能なウォータープルーフのブレスレットである。マジックバンドは、入場券、ファストパス、ホテルの部屋のカギ、クレジットカードなど様々な役割を果たす。現在、マジックバンドの使用はオプションの1つであるが、マジックバンドを使用する人はどんどん増えている。

【マジックバンドはどのような役割を果たすのか?お客さんの反応は?】
 New Times Broward Palm Beachによると、マイマジックの“休暇管理システム“では、ウォルトディズニーワールドを歩きまわる人々を追跡し、購入の習慣を分析することができる。もし、親が子供のマジックバンドで、ある設定を許可したならば、ディズニーキャラクターの着ぐるみの中に入っている従業員は、隠されたセンサーを使い、その子供のデータを見ることができる。だから、ある子供がミッキーマウスのもとまで歩いて行くと、ミッキーマウスが「やあ、ボビー!誕生日おめでとう!」などと言い出す可能性があるのである。いくつかのアトラクションは、マジックバンドと作用するように設計される予定であり、そうすることで、列で並ぶ客も楽しむことができる。
 
 マジックバンドの機能がすべてスムーズに動き、鍵や、チケットや、クレジットカードを手探りで探さずにすみ、1つの装置で全て可能になるというのは安心だという人もいる。一方で、システム上の問題について不満がある人もいる。例えば、ある客は娘のマジックバンドがうまく作動せず、またその問題を解決するためのスタッフのトレーニングも不十分だったため、アトラクションに乗る代わりに何時間もテクニカルサポートを受ける必要があったと言っている。他の客は、もし、ホテルをある人物の名前で予約した場合、レストランを他の人物の名前で予約すると、問題が生じたと述べている。

【マジックバンドがディズニーにもたらす利益とは?】
 The American Geniusによれば、ディズニーはマジックバンドにより、客が何をどこで購入しているか知ることができその統計を取ることができる。また、どのアトラクションが最も人気かを知り、その統計を全体において比べることができるのだ。

 また、GIGAOMによれば、ディズニーはマジックバンドにより次のような調査を行うことができるという。
•リゾートホテルにおける朝食でどういった食べ物を食べると、パーク内に長く滞在するのか?
•トイレに長く入っている客の群れを検出できるか?もしかしたら、そのような客は同じ場所で食事を取っているのかもしれない。そして、食物媒介性病が広まる前に、それを食い止めることができるかもしれない。
•客が早くパーク内から帰ってしまうことや、トイレに行ってしまうことと関係のあるジェットコースターはあるか? もしあったらそれは、収益減少につながる。どのようにそのジェットコースターを作りかえるか?
•パーク内で高い商品を購入する客がのるアトラクションや、彼らが食べる食品の特徴というのはあるか? あるならば、最適の時間帯に店員に売り歩きをさせることで、積極的に客の目の前に店員を配置することはできるか?

【プライバシー情報が悪用される危険性も?】
 The American Geniusには、「全ての情報を一つにまとめることで生じるセキュリティリスクもある。誰かが、クレジットカードを盗んだりクレジットカードナンバーをスキャンしたり、あるいは、ホテルのキーをマジックバンドから複製したりすることはないだろうか?」という指摘もある。

 New Times Broward Palm Beachには「スマートフォンでマジックバンドを読み取ることはできるのか?もし、誰かがあなたの情報をコピー&ペーストし、あなたのマジックバンドを複製したらどうなるのか? そして、あなたのクレジットカードを使い、ホテルルームの中にまで入ってくることができたら?」との記述もあり、マジックバンドに関するプライバシーの懸念は大きいようである。

Text by NewSphere 編集部