「日本化」する中国 バブル崩壊を彷彿

中国・北京で建設中の住宅ビル(6月5日)|Andy Wong / AP Photo

 低成長の時代に突入したとみられる中国だが、最近「日本化(Japanification)」しているのではないかと多くの海外メディアが報じている。高齢化と労働人口の縮小、消費の低迷、不動産市場の失速など、バブル崩壊後の日本との類似性が指摘されている。

◆日本と同じ流れか? 対応の遅れで「日本化」必至
 香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)は、中国が日本と同様の失われた数十年の停滞に向かうかもしれないという見立てを紹介。英フィナンシャルタイムズ紙(FT)も、中国に「日本化」の新たな波が押し寄せてくる可能性があると指摘する。米インサイダー誌は、中国が早急に対処しなければ、やがて低成長、財政停滞の1990年代の日本に似てくる可能性があると警告している。

 中国は世界貿易機関(WTO)加盟後、インフラ投資と輸出促進により国際総生産(GDP)の長期的な高成長局面に入った。同じことが、戦後の日本にも起こっていたとFTは指摘する。日本では1987年から1989年には不動産、株式バブルが拡大。1989年末にはバブルが崩壊し、この後成長が著しく鈍化した。

 日本銀行は金利引き下げに手間取り、政治は景気刺激策を消費ではなく投資に誘導。負債を抱えた企業や家庭はお金を使うよりも返済することを選んだが、生産年齢人口は減少し、負債は膨み続けている。アナリストたちは、中国は対応が遅れ被害を拡大させた日本のミスを教訓にすべきとしている(SCMP)。

Text by 山川 真智子