NY市、フードアプリ配達員の最低時給を2800円へ 大幅改善への反応は

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 ニューヨーク市は、フードデリバリーアプリの配達員に支払われる最低賃金を大幅に引き上げると発表した。改定後、時給は約3倍に引き上げられる見込み。この改善はおおむね評価されているものの、懸念の声もあるようだ。

◆配達員に特化した初の最低賃金導入
 6月11日、ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長および市消費者労働者保護局(Department of Consumer and Worker Protection: DCWP)は、今までにない試みとして、フードデリバリーアプリの配達員のための最低賃金を発表した。これに先駆けて2021年9月に成立した法案を受け、ドアダッシュ、ウーバーイーツなど、主要なフードデリバリーアプリからのデータなどに基づいて最低賃金が設定された。

 現在、同市には6万人以上の配達員がいるとされるが、その平均時給は7.09ドル(約1000円)。今後は、少なくとも19.96ドル(約2800円)にまで引き上げるとのことだ。市の発表によると、最終的なこの時給水準はパブリックコメントのインプットをもとに決定された。フードデリバリーアプリの配達員は、サービスを個人として請け負い、経費は自己負担。さらに、労災保険、有給休暇はなく、医療保険や社会保険の保険料も高額という状況。こうした状況も加味しての、大幅な時給水準の見直しだ。

 最低賃金は、7月12日から有効となり、まずは17.96ドル(約2500円)が最低賃金と設定されて、2025年の4月1日までには19.96ドルまで引き上げる計画。インフレ上昇率も考慮されるという。配達員がアプリを起動して待機している時間と、配達中の両方に対して支払いを行うアプリに関しては、最低賃金の1分あたり30セント、配達中の時間に対してしか支払いを行わないアプリについては、最低賃金の1分あたり50セントの最低水準が設定された。平均的な配達員の時間配分は6割が配達中、残り4割が待機中とのことだ。

Text by MAKI NAKATA