ハワイでは1パック1000円以上 全米各地で卵の価格が高騰

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◆値上がりと品薄をもたらした3つの要因
 卵の価格高騰には、3つの理由が関連している。クリスマスによる需要増、生産コストの高騰、高病原性鳥インフルエンザの発生だ。米農務省(USDA)によると、2022年2月の発生以来、12月末までに採卵鶏4300万羽以上が病気もしくは殺処分によって死亡した。

 全米一大生産地アイオワ州では、年間採卵量は約170億個(2019年)だが、昨年に鳥インフルエンザによって採卵量に壊滅的な被害が生じた。

 カリフォルニア州では、今年1月1日に採卵鶏を含む家畜のケージフリーの生産と販売を義務付けた法律が施行されたため、ケージフリーで飼育された卵の卸売業者が不足していることで、価格の高騰が起きている(abc7ニュース 1/17)。

 一方、鶏卵を使用しない植物性由来の卵が登場し、飲食店への売上が伸びている。また、有機卵や放し飼い卵を生産する農場では鳥インフルエンザの影響が少なく、卵の価格が従来のものよりも低くなるという逆転現象も起きている(インサイダー)。

 今後の動向について、アイオワ州立大学エッグインダストリーセンターのマロ・イバルブル助教授は、「鳥インフルエンザの新たな発生がなければ、生産は回復し、採卵量は数ヶ月にかけて次第に増えていくだろう」との見方を示した(USAトゥデイ)。カリフォルニア州食料品店協会(CGA)広報担当のネイト・ローズ氏は、12月はクリスマスの焼き菓子作りのため需要増だったが、それも落ち着いて数週間内には価格は落ち着く可能性がある、という見通しを語った(abc7ニュース)。

Text by 中沢弘子