中国人は? マスクどうする? インバウンド再開した日本の不安
◆あの国なしでは厳しい? コロナ前に戻るのはまだ先
岸田首相は年間5兆円の観光消費を呼び込むことを期待しているが、野村総合研究所は、来年のインバウンド需要の推計値は2.1兆円(名目国内総生産(GDP)比0.4%)としており、コロナ前の実績値4.8兆円を超えるのは2025年としている。
人手不足やサプライチェーンの混乱がインバウンドに影響を与えるという見方に加え、田村氏は中国のゼロコロナ政策の影響も大きいと指摘する。2020年に日本が「鎖国」状態になるまで、成田空港利用者に占める中国人の割合は大きかったという。中国の開国がなければ、完全なインバウンドの回復はないという見方だ。(ロイター)
ガーディアン紙も、2019年の訪日観光客の約3分の1は中国人だったことから、中国のゼロコロナ政策が続く限りは爆買い時代に戻ることはなく、当面はほかのアジアや欧米からの旅行者に頼ることになるとしている。
◆考え方に差異あり マスク問題解決なるか?
もう一つの課題は、マスクの扱い方だ。ブルームバーグのオピニオン・コラムニスト、リーディー・ガロウド氏は、政府は屋外でのマスク着用は必要ないとしているが、日本人は今でもマスクを好むと説明。ノーマスクの外国人観光客の流入が、次の感染爆発招くのではと気をもむ人もいると述べる。反対に、外国人にとってマスクは過去のものとなっており、着用に戸惑うこともあると指摘。日本国内でも、マスクに固執していれば世界に後れを取るという批判もあるとしている。
ガーディアン紙がインタビューした祇園の店員は、マスクはしてほしいが外国人旅行者に強要するのも気まずいとしており、受け入れ側の気持ちも複雑だ。
ガロウド氏は、長期の国境閉鎖が日本にとってコストが大きかったことは確かで観光客受け入れは正しいとし、マスク着用に関してはより明確なガイドラインが示されるべきだとする。さらに、一般市民と外国人旅行者双方がお互いから学ぶことがあるはずで、国境が開かれた今こそ、情報の行き来が必要だとしている。
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