中国人は? マスクどうする? インバウンド再開した日本の不安

Hiro Komae / AP Photo

 2019年に日本を訪れた外国人は3188万人と過去最高を記録したが、コロナ禍での「水際対策」による厳しい規制で21年には約25万人にまで落ち込んだ。今年になって政府は団体旅行のみを受け入れるなど観光目的による入国規制を緩和。ついに10月11日から個人旅行の解禁、ビザ免除の再開、1日の入国者上限の撤廃を打ち出し、インバウンド観光を本格的に再開した。記録的円安もあり、岸田首相は訪日客による経済効果に期待するが、海外メディアからは課題山積という声が聞かれる。

◆再開歓迎だけど……コロナ禍で状況も変化
 英ガーディアン紙は、インバウンド再開で日本のテレビには各地の人気スポットが旅行者で賑わう様子が映し出されていたと報じた。しかし突然の外国人の大量流入に、日本側の準備は不十分だと述べている。

 同紙は外国人に人気の京都の祇園を紹介し、地元には楽観と不安が入り混じっていると指摘する。ここ数年の商売の厳しい落ち込みに耐えてきた商店や飲食店の人々は、インバウンド再開に期待しているが、同時にマナーを知らない外国人客が引き起こすトラブルやオーバーツーリズム(限度を超える観光客が押し寄せること)の再来も心配しているという。また、せっかく観光客が戻って来ても、対応できる十分なスタッフを確保することが難しいという声もあった。

 人手不足の問題は、空港でも深刻だ。成田国際空港の田村明比古社長によれば、空港の260の店舗やレストランの半数近くが閉鎖されたままであり、人手不足によりその多くが営業再開までに数ヶ月かかるかもしれないとしている。コロナによるダメージは甚大で、空港や航空業界、そして全国の観光地から人が去ってしまったと述べている。(ロイター

Text by 山川 真智子