ワイン名産地がベルギーに? 異常気象に苦しむ仏ブドウ園 ワインの味とアルコール度数が変化か

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◆山火事の影響は?
 今年の夏に山火事の被害にあった地方では、煙の臭いがワインの味に影響する可能性も指摘されている。これまで同じような被害に遭ったことのあるオーストラリア、南アフリカ、アメリカのデータによれば、煙の臭いは実や果汁の段階では感じられなくても醸造後ワインになってから出てくることがあるという。ワインにとっては致命的な欠陥となるため、該当地域では情報交換を目的とした会合などを開いている。それによれば、ワインから煙の臭いを取り除く解決策には、木炭の利用のほか、醸造中に用いる酵素の工夫などが取られるということだ。(フランス・アンテール、8/31)

◆ワインの名産地はベルギーに?
 猛暑、乾燥、山火事にあえいだフランスとは対照的に、ベルギーでは40度を超える日はほとんどなく、ブドウの収穫は良好でワインの当たり年になりそうだと見られている。ブリュッセル南部シャピトルブドウ園のアニー・オーティエ氏は、「去年は湿気がひどく高くて、カビや霜に悩まされたが、今年はそうではない」と答えている。(rfi、8/13)

 同氏は「(フランス)ブルゴーニュ地方のワイン醸造家の友人たちは、(ベルギーはいま)4、50年前のブルゴーニュの気候だと言っていた」と明かしている。ベルギー・ワロン地方ワイン醸造家協会のピエール・リオン会長も「地球温暖化は、ベルギーのワインを優位に立たせるだろう」と発言している。(同上)

 気候が変化すれば、当然、土地ごとの生産物も変わっていくだろう。その速度は、もしかしたら私たちの予想以上に速いかもしれない。

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Text by 冠ゆき