リゾットの米も… 70年で最悪の干ばつ、イタリアの稲作に大打撃
◆不作の損失莫大 関連企業にも影響
この天候不順は、すでに米業界に深刻な打撃を与えている。農家は今年の収穫量の30%を失う見込みで、干ばつの結果業界の損失はすでに約30億ドル(約4100億円)になっている。イタリアはEUの米生産量の半分以上を占める最大の生産国だけに、米の輸出業者にとって大きな痛手となることは間違いない。(ナショナル・ジオグラフィック誌)
地域の水配給会社は優先的に水を米農家に輸送するよう調整しているが、すでに手遅れというところも多く、今年の収穫の70%以上が失われると予測する農家も出ているという(同)。
2020年のパンデミックの封鎖により自宅で調理を余儀なくされたイタリア人の米の消費量は増加したが、現在はコメ不足のリスクを抱えていると農業団体コルディレッティのステファノ・グレッピ氏は述べる。もし今年収穫ができなければ、多くの企業が閉鎖や倒産に追い込まれる恐れがあるという。(AFP)
◆気候変動の影響か? 水不足は慢性化
経済協力開発機構(OECD)上級政策アナリストのギヨーム・グリュエール氏は農家に対し、現在の気候では米の栽培がすぐに立ち行かなくなるという厳しい現実を直視し、小麦などのほかの作物に転作することを勧めている。これに対し、地域のすべての農家が栽培する作物を変えても、気温が上がればまた同じことの繰り返しとなり、問題の根本的な解決にはならないという意見もある。(ナショナル・ジオグラフィック誌)
アルプスの河川の研究を行う調査センター、アルプストリームの創設者でトリノ大学の教授、ステファノ・フェノリオ氏は、干ばつは急性のもののように扱われるが、いまや慢性になりつつあると述べる。貯水池を増やしても効果は限定的だし、ダムから水を引けば水力発電によるエネルギー供給にも影響が出ると指摘。イタリアはむしろ長期的な計画を立てるべきで、より水を大切に使うシステムの構築が必要だとしている。(ネイチャー誌)
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