家畜の糞尿が大人気 肥料価格の高騰のなか農家の救世主に

厩肥を手にする農民|Brian Inganga / AP Photo

◆すでに品薄で価格も上昇 うれしい特需も
 ロイターによれば、アメリカでは春の植え付けシーズンを間近にして、高騰した肥料の代替品となる厩肥の需要が急増しているという。農業コンサルタントは、厩肥はとても人気があり、購入待ちリストができるほどだと述べている。

 イリノイ大学の農場管理専門家ギャリー・シュニッキー氏は、厩肥を使えば肥料コストを半分にすることが可能だと指摘。また、土壌の有機物を増やすため、利用は検討に値するとしている。(FarmWeekNow.com

 もっとも、需要急増で厩肥の価格も上昇し、畜産農家や牛の肥育場には思わぬ恩恵となっているという。ネブラスカ州では固形の厩肥の価格は通常1トン当たり5~8ドルだったのが、11~14ドルに達している。実は大量の糞尿を排出する家畜のいる州でも、商業肥料に完全に取って代わるほどの量はなく、厩肥はより貴重になりそうだ。さらに、厩肥関連の散布装置や、運搬用タンクなどを製造する機械メーカーにも特需がもたらされている。(ロイター)

◆化学肥料には劣る? 環境汚染の懸念も
 いまや「黄金の液体」とも呼ばれる厩肥は肥料不足の農家に救いの手を差し伸べるが、利用には大きなリスクが伴う。専門家によれば、動物の糞は商業的に販売される肥料の栄養素を完全に補完することはできない。また、地下水や近隣の小川の汚染につながり、農場に深刻な被害をもたらすこともあり得るという。(ロイター)

 それでも、メリットがリスクを上回るかもしれないとビジネス・インサイダー誌は述べる。米農務省の推計では、肥料価格は昨年の17%上昇に続いて年内に12%上昇すると予想されており、農家にとって肥料代が最も速いペースで増える生産コストとなっているからだ。ロシアとウクライナの戦争終結が見えないなか、苦しい農家にとっては動物の糞の魅力はさらに増すだろうと同誌は指摘している。

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Text by 山川 真智子