全米のスーパーで品不足続出 オミクロン感染以外にも理由

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◆売り手市場で離職増加 天候も影響
 ワシントン・エグザミナー誌が人手不足のもう一つの原因とするのが「大量離職」だ。パンデミック後、食料品店や倉庫運営など低賃金産業の仕事を辞める労働者が増えており、労働力確保が難しくなっているという。米労働省の発表では、11月に自発的に離職した人は450万人に急増しており、いまより良い仕事が見つかるという人が増加したことを示すとNBCニュースは解説している。

 このところの悪天候も品不足を助長した。大西洋岸の地域では大雪に見舞われ、各地の道路状況を悪化させ、輸送の遅れにつながった。冬に悪天候はつきものだが、食品業界団体FMIのダグ・ベーカー氏は、天候が消費者の心理に与える影響も指摘する。悪天候が予報されると必ず売れる商品というのがあり、人は在庫が減っている画像や映像などを見ると、1つではなく念のため2つ買っておこうという気持ちになる。こういったことが一部商品の売り切れにつながっているという。(WP)

 そのほか、イギリスや中国では感染拡大で一部の工場が閉鎖され、アメリカが輸入する特定の原材料や商品の供給に支障が出ていること、感染と物価高でより多くの人が外食を避け家庭で食事をするようになったことなども、品不足の理由とされている。(同)

◆ピークが過ぎれば改善? ただし感染はかつてない規模へ
 ワシントン・エグザミナー誌は、状況がいつ完全に解決されるかは、問題の不透明さと影響を及ぼす変数の多さから不明だとする。しかしオミクロン感染がピークを迎え、新規発生件数が減少すれば、食料品店には何らかの改善がみられるだろうと述べている。

 米ワシントン大学の数理モデルでは、1日の感染者数は1月19日に120万人に達し、それをピークに急激に減少すると予測されている。単に感染する可能性のある人が皆感染してしまうからということで、米食品医薬品局(FDA)のジャネット・ウッドコック長官代行は、ほとんどの人が感染してしまうという現状を理解するのは困難だと、複雑な心境を明らかにしている。(マーケット・ウォッチ

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Text by 山川 真智子