ジェット燃料需要減がPEパイプに影響……世界的に建築資材が不足
◆パンデミックに端を発する連鎖反応
パンデミックに端を発する不足には、ポリエチレンも挙げられる。新型コロナ感染拡大以来、世界的に空の便は激減した。そのため、ジェット燃料になるケロシン生産量もぐっと落ち込んだ。実は、ポリエチレンパイプの製造には、ケロシン生産時に排出される廃棄物が利用される。そのため、パンデミックは結果的にポリエチレンパイプ不足をも引き起こしたのだ。(RTL 5minutes、5/8)まさに、風が吹けば桶屋が儲かる式の連鎖反応といえる。
また、海運のコンテナ不足や海上運送費の値上がりに加え、スエズ運河座礁事故が引き起こした海上運送の混乱も現在の状況と無関係ではない。さらに言えば、コンクリート・モルタル部門の原材料不足については、「ドイツの工場で発生した火災と、2月の頻繁な停電の原因となったテキサスの寒波」が大きな理由となっている(ラ・デペシェ)。
◆値段の高騰と納期の遅れ
材料不足は価格の高騰も引き起こした。ルクセンブルクの業者は、全体的に約30-60%の値上がりだと述べており(RTL 5minutes)、フランス南部の建設業代表は、鉄は80%、アルミニウムやポリウレタンも45%の値上がりだと明かしている(ミディ・リーブル紙、5/2)。だが、値上がりもさながら、建設業者が最も恐れるのは納期の遅れだ。すでに納期が大幅に延びている製品も少なくなく、たとえば、窓の金具などは、「納品まで32週間みる必要がある」という(ミディ・リーブル紙)。
納期の遅れは当然工期の延長を引き起こし、それに伴い諸費用も跳ね上がる恐れがある。フランス建築連盟(FFB)は、材料不足が原因となる納期の遅れにペナルティを課さないよう、経済・財務省に申し入れ、現在その方向で検討が進んでいるが、FFBのオリヴィエ・サルロン会長は、この状況が落ち着くのは早くて6ヵ月先とみている(バティアクチュ、4/23)。
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