世界の物流を悩ませる深刻なコンテナ不足 新型コロナ影響

Steve Parsons / PA via AP

 それらの事情に加え、筆者が中国の物流関係者から聞いた話では、秋のアメリカ大統領選も中国から北米への貨物を増やす要因になった。トランプ大統領が再選した場合の関税税率引き上げを懸念して、多めの発注をかけるケースが増えたからだ。しかも中国は10月頭に国慶節があり、休暇前に貨物を出してしまおうと輸出が集中した。

◆海上運賃の値上げ
 当然の帰結として、コンテナ不足は海上運賃の値上げを引き起こしている。『ザ・ロードスター』(12/11)によれば、同日付のSCFI上海発海上コンテナ運賃は2311.71と、昨年の同週と比べて162%の高値。北ヨーロッパ向けだけを見れば230%増の運賃となっている。しかも、SCFI値はその後も上昇を続けている(『コンテナニュース』SCFI)。『ザ・ロードスター』は、コンテナを確保するための料金などを含めると、アジアから北ヨーロッパへの荷送人が最終的に支払う料金は1TEU(20フィートコンテナ1個分)あたり最大5000ドルになることにも触れている。

 とはいえ、ない袖は振れぬように、コンテナがない限り貨物は運べない。お金を積めば荷が運べるわけではないのが現状だ。そのため海運業者のなかには、年末の予約を凍結するところも出た。ザ・マリティム・エグゼキュティブ誌によれば、現在、中国はコンテナ需要に応えるため、メーカーの「労働時間を1日8時間から11時間に延長し」コンテナ製造を急がせているところだというが、まだまだ解消にはつながっていない。しかも、2月の春節を控えている。毎年中国では春節休暇前に出荷ラッシュとなるのが常であることを思えば、この混乱はまだしばらく続きそうだ。

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Text by 冠ゆき