食品廃棄大国アメリカで、フードバンクがパンク寸前 コロナで需要急増

カリフォルニア州ネバダ郡のフードバンクのボランティア(12月17日)|Elias Funez / The Union via AP

 フードバンクは、市場で流通できなくなった食品などの寄付を受け、必要とする人々に配る団体だ。全米各地にネットワークが広がっており、生活困窮者の支えとなってきた。ところがコロナ禍で経済状況が悪化した人の利用が急増。需要に見合うだけの供給が困難になりつつある。

◆空腹深刻 食品ロスの陰に食べ物を買えない人々
 ペンシルバニア州立大学の調査によれば、全米の平均的家庭では購入した食品の30%ほどが捨てられているという。金額にして1年で平均1866ドル(約19万2000円)にもなる(USニューズ&ワールド・レポート誌)。そんなアメリカにも、お腹を空かせている人はたくさんいる。米の飢餓救済組織、フィーディング・アメリカによれば、全米で食料不足を経験した人は2019年では3500万人以上だった。しかし今年はパンデミックのため、その数は5000万人近くに達していると見られる(米公共ラジオ網NPR)。

 食料不足に悩む人が増えたのは、ロックダウンなどで米経済がダメージを受けたからだ。ビジネスが再開された後はやや改善し、給付金や失業手当なども役立ったが、各種手当の終わりが迫りつつあり、状況はまた悪化していると専門家は指摘する(BBC)。

Text by 山川 真智子