中国の豚肉不足が深刻化 政府の備蓄も残りわずかか

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◆政治、外交にも影響 食糧問題が中国の弱点に?
 大量の豚肉輸入は、国際的に中国の弱みを見せる形となっている。FTは、豚肉を輸入に頼ることは、中国にとって政治的に微妙だとする。ファーウェイ幹部の逮捕をめぐって関係が悪化したカナダからの豚肉輸入を再開した際には、外交部幹部は、決して雪解けの兆候ではないと警告した。また、ドイツでASFが見つかったことで、EUとの関係強化のために重要なドイツに対しても、自国の養豚業を守るため豚肉の輸入を禁止せざるを得なかった。

 こういった心配もあってか、中国は国外から優先的な豚肉供給を確保する動きも見せているが、これが大きな批判を受けている。中国とラテンアメリカの関係を報じるDialogo Chinoによれば、アルゼンチンでは中国の出資で25ヶ所の養豚場を建設する計画がある。中国にとっては国内で生産するより安い豚肉が大量に手に入り、アルゼンチンにとっては雇用と輸出が増えるまさにウィンウィンのプロジェクトだ。

 しかし、水質・大気汚染、森林破壊、温暖化ガスの大量排出といった環境面での問題が指摘され、契約が遅れているという。さらに、大企業に有利で中小生産者に打撃を与える、新たな疫病出現の可能性もあるなどと、NGOからの批判が噴出している。

 USDAによれば、中国の豚肉の年間需要は約5000万トンと見られている。人口約14億人の中国の食を支えることは、いまや世界的難題となったようだ。

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Text by 山川 真智子