中国の豚肉不足が深刻化 政府の備蓄も残りわずかか

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 中国は世界一の豚肉生産国だが、その輸入と消費も世界一だ。ところが2018年の8月に中国でアフリカ豚コレラ(ASF)が確認されて以来、1億匹以上の豚が処分されたと見られ、豚肉の価格は記録的に上昇している。中国政府は、備蓄していた豚肉の市場への放出と、かつてない量の輸入で価格を抑えようとしているが、それに伴う問題も見え始めている。

◆備蓄大放出 価格安定に必死
 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、中国の冷凍豚肉の備蓄は枯渇しつつあると述べる。もともとの備蓄がどの程度あるのかは中国の国家機密だが、ロンドンを拠点とするコンサルタント会社、Enodo Economicsによると、昨年9月から今年8月までの間に、備蓄は45万2000トンほど減少しているという。同社のチーフエコノミストによれば、中国の豚肉備蓄は10万トン程度しか残っていないと見られ、いまのペースだと2、3ヶ月後には底を突くだろうということだ。

 最高値からは若干下がっているが、現在でもスポット仕入れ価格はASF前の価格の2倍以上で、消費者向け価格も8月では1年前から50%以上上昇していた。政府備蓄の放出は、供給不足の緩和というより価格の安定のための意味が強かったが、備蓄の減少は、今後の政府の豚肉市場への介入が限定されることを意味するとアメリカ農務省(USDA)の報告書は指摘している(FT)。

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Text by 山川 真智子