中国の豚肉不足が深刻化 政府の備蓄も残りわずかか

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◆輸入記録的増加 国内の供給減を穴埋め
 国内の不足を補うため、中国は記録的な量の豚肉を輸入している。今年7月の中国の豚肉輸入は43万トンに達し、1年前の2倍以上になっている(FT)。世界のトップ豚肉生産国の一つ、アメリカでは、USDAの9月初めの週間輸出セールス報告書によると、豚肉の純売上の54%が中国向けだった(米インディアナ州農業ニュース『Hoosier AG Today』)。

 豚肉不足、価格上昇が深刻だという見方に対し、中国国営新華社は、これ以上の価格上昇はおそらくないと主張する。中国政府は豚肉備蓄の放出で供給を改善し、価格を安定させる策を取っているのに加え、中国に豚肉を輸出したい国は多く、不足の心配はないという意見だ。

 さらに、養豚業への支援も万全だとしている。豚肉価格の上昇で多くの養豚農家が生産に復帰していることもあり、8月には中国で飼育されている豚の数は昨年同時期に比べ31.3%もアップしたという。豚の数が順調に増えているため、第4四半期の需給バランスは改善するということだ。

 しかし米農業関係者のなかには、子豚が育っているとはいえ、中国はまだまだ養豚業再建の途中だという意見もある。農業コンサル会社、AgriVisorのカール・セッツァー氏は、生産が需要に追いつくには、1年から1年半は続くと見ている。また、ASFのアウトブレイクはいまも報告されており、感染が再拡大する可能性もあるとしている(Hoosier AG Today)。

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Text by 山川 真智子