クルーズ船の悪夢再び 営業再開も感染者 運休で破産も
◆万全を期したはずの感染予防策
各社、営業停止期間中には感染予防対策も練った。フランス船主会のソーヴェ会長は、マスク、フィジカル・ディスタンス、乗船前の(感染)テストを導入するのはもちろん、船室での食事や、荷物の消毒なども検討していると語る(フランス・アンフォ)。また多くのクルーズ業者は、空気清浄機を注文したという。フランスのポナン社ベライシュ副社長も、『トラヴェル』のインタビュー(7/27)に答え、「当局の指導よりもさらに厳しく」「乗船時の衛生手順の厳格化、乗船中の感染予防対策の強化、乗務員の行動範囲の把握と日々の検査」に力を入れる考えを明かしている。たとえば、乗客は72時間以内に行ったPCR検査の陰性証明書を乗船時に提示しなければならず、船の医務室にも20分でできるPCRテストキットを配備する点などだ。
しかし、上に記したように、営業再開後まもなくポリネシアで発覚したポナン社クルーズ船乗客のCovid-19患者の存在は、万全を期したはずのこの同社対策も万全ではなかったことを示している。
◆寄港地獲得の難しさ
この春は、多くのクルーズ船が世界で着岸を拒否され立ち往生したが、寄港地獲得は今後も課題となりそうだ。というのも、ノルウェーは、今回ロアール・アムンセン号で感染が広がった事実を受け、100人以上規模のクルーズ船が、同国の港で乗客を下船させることを禁止すると決定したのである(フランス・アンフォ、8/3)。当面は14日間としているが、今後延期されないという保証はなく、また、ノルウェーと同様の動きが別の国で起こる可能性も否定できない。
クルーズ業の受難には、まだ終わりが見えない。
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