牛乳飲まなくなったアメリカ人、なぜ? 代わりに飲み始めたのは?

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◆消費者の声を聞け トレンドに鈍感は命取り
 牛乳不振と言っても、販売が落ちているのは一般的な家庭で飲まれている無脂肪乳、低脂肪乳で、乳脂肪を調整しないホールミルクの消費は増えている(ウォール・ストリート・ジャーナル紙、以下WSJ)。また、乳製品自体の消費は、チーズやヨーグルトなどが好調なため伸びているとCNBCは指摘している。

 WSJによれば、脂肪分は復活傾向、砂糖は嫌われ、プロテインが人気というのがいまの食のトレンドだという。これをしっかり理解したコカ・コーラ社は、乳製品の卸会社と協力し、「フェアライフ・ウルトラフィルタード・ミルク」という通常よりプロテイン5割増し、糖分5割減というミルクを売り出し、セールスを伸ばしている。

 フェアライフのCEO、マイク・セイント氏は、消費者は健康的なオプションを求めており、これにジュースや水の会社は耳を傾けたが、ミルク業界ではだれもステップアップを図ろうとしてこなかったと述べる。専門家のなかには、消費者とのコミュニケーションを怠ればセールスがほかに流れていくのは当然、というミルク業界に厳しい指摘もある(WSJ)。

 APによれば、ディーン・フーズの昨年のセールスの67%は、牛乳からのものだという。同社の苦境は、多様化する消費者のニーズを捉えきれず、革新的な製品を送り出せなかった結果とも見られ、ミルク業界も変革を迫られていると言えよう。

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Text by 山川 真智子