より豊かになる中国の大富豪 米中経済戦争でも資産増加

AP Photo / Firdia Lisnawati

 2019年、中国で最も裕福な実業家たちは、対米経済戦争と景気減速の最中にも、さらなる資産を積み増している。これは、10月10日に発表された調査書の中で明らかになったものだ。

 中国の大富豪の動向を追っている胡潤百富(フルンレポート)によると、中国で最も裕福な上位1,800人の純資産の平均額は、2018年比で10%の増加、14億ドルとなった。

 2年連続の首位に輝いたのは、インターネットビジネス最大手・アリババ会長を今年9月で退いたジャック・マー(馬雲)氏で、その純資産は390億ドル。それに続いて、ゲームおよびソーシャルメディア企業、テンセント代表のマー・フアテン(馬化騰)氏が、資産8%増の370億ドルで第2位につけた。

                                                                                                                 

 今回の結果は、アメリカの関税引き上げによって輸出志向の製造企業が苦境に立たされるなか、中国の消費者市場がいかに大きいか、その重要性を改めて示している。

 フルンレポートの長者番付のなかでは、製造企業の実業家の名前が過去よりも減った一方、ハイテク、製薬、食品産業のビジネスパーソンの名前が増えている。

「多くの富が、デジタル経済への適応能力に優れた企業や人々の下に集中しています」と、フルンレポートの創設者で、主任研究員を務めるルパート・フーゲワーフ氏は声明で話している。

 アメリカやヨーロッパでは、最裕福層の大部分が相続財産で富を得ている。これとは対照的に、長者番付上位の中国大富豪のほぼ全員が、その資産を自らの事業で築き上げている。

 フーゲワーフ氏によると、調査を開始した今から20年前は、中国本土には世界レベルの億万長者と呼べる人物は一人もいなかったという。

 2017年にフルンレポートの長者番付1位だった不動産ディベロッパーのシュー・ジャーイン(許家印)氏は今回、資産300億ドルで3位に順位を下げた。

 また、製薬企業ハンソー・ファーマシューティカルのトップを務めるスン・ピャオヤン(孙飘扬)氏とヂョン・フイヂュアン(钟慧娟)氏の夫婦が、資産250億ドルで5位。ハンソーは香港株式市場上場の製薬企業で、統合失調症と双極性障害の治療薬を主に扱っている。

 フルンレポートによると、今年のリストでは、全体の8%を製薬業界の大物たちが占め、中国最富裕層に占めるこの業界のシェアは、10年前と比べて2倍に増えている。

 技術開発をめぐる米中政府間抗争の渦中にあるスマートフォンメーカー、ファーウェイ・テクノロジーズの創業者、レン・ツェンフェイ(任正非)氏の今年の純資産は、昨年比24%アップの30億ドル。フルンレポートでの順位は162位で、こちらも前年から36位のアップとなっている。

 ファーウェイはネットワーク・スイッチング機器の製造も行っており、同社の発表によれば、2019年上半期の売上は前年比で23.2%増加した。しかしながら同社は、アメリカ国内のコンポーネントおよびテクノロジー分野への参入制限を受けて、今後は「困難に直面する」と、厳しい見通しを示している。

 今回の消費者関連企業の躍進は、2019年上半期の中国の小売支出が8.4%増加したことがそのまま反映された形だ。この数字はしかも、中国の経済成長率が、ここ26年で最低にあたる6.2%にまで低下したなかでの数字である。

 また、養豚ビジネスを展開するムーユエン・フーズのオーナー、チン・インリン(秦英林)氏とチェン ・イン(銭瑛)氏の夫婦は、アフリカ豚コレラの大流行による豚肉価格の高騰によって多額の利益を得た。その純資産は前年比3倍増の140億ドル。

 今回発表されたリストのうち40歳未満の人数は156人で、昨年と比べて24人の増加となった。

 eコマース企業のピンドウドウを経営するコリン・ファン(黄峥)氏は39歳、企業設立から4年後の今年、純資産190億ドルで第7位にランクインした。

「世界中を見ても、事業スタート直後の時点でここまで資産を積み上げた人物は、ほかには誰もいません」とフーゲワーフ氏は述べている。

By JOE McDONALD AP Business Writer
Translated by Conyac

Text by AP