日本、消費税10%に引き上げ 経済悪化の兆しのなか

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 10月1日、日本の消費税率が8%から10%に引き上げられた。大幅に遅れた消費税率引き上げの動きが世界第3位の経済規模を誇る日本の脆い成長路線を阻害しかねないという懸念が広まっている最中のことである。

 日本の消費税率は、1997年に2%引き上げられ5%となり、さらに2014年には8%まで引き上げられた。これら過去の消費税率引き上げはいずれも景気の後退を招いたが、当局者はこのような衝撃を緩和するために十分な措置を講じたと語る。

 安倍晋三首相は今回の消費税率引き上げを2度延期している。しかし、安倍首相は、国民の高齢化と人口の減少に伴い、高齢者の介護や医療にかかる費用の増加と国債の赤字額の増大を鑑みると、消費税率引き上げはもはや避けて通れないと述べている。数十年も続いた財政赤字によって国の債務が経済規模の2倍以上に膨れ上がった後、安倍首相は、2025年までに国の収支を歳入と歳出のバランスのとれたものにすると約束した。しかし、その実現には経済の成長が健全なペースを保ち続けることが必要不可欠だ。

                                                                                                                 

 9月には、大手製造業者の抱く景況感が2013年以来最悪の水準まで悪化したというデータが発表されたが、今回の消費税率の引き上げは、奇しくもその発表と時を同じくして実施された。

 その結果は市場予想を上回ったが、「短観」と呼ばれる日本銀行の四半期ごとの調査報告の12月調査までに、景況感はさらに悪化するだろうという見通しが立てられている。

「とくに大きく影響を受けるのは、最近の商品市場の動向を反映している基本的資材の製造者、および最近の米中貿易摩擦の再拡大によって生じているリスクにさらされる汎用品や生産機械の製造者だ」とオックスフォード・エコノミクスは社説の中で述べている。

 今週発表された他のデータは、8月の工業生産高が低下していることを示している。その一方で、失業率は26年ぶりの低水準である2.2%を堅持している。

 日本経済は4月から6月にかけて年率1.8%のペースで成長した。これは予想を上回るペースである。しかし、輸出の減速と原油価格の上昇によって、今後数ヶ月でこの成長率は鈍化すると予想されている。

 消費税率の引き上げは、衣類、電化製品から運輸および医療費までほとんどすべての商品とサービスを対象としているが、政府は住宅や車の購入に対し優遇税制措置を講じて増税の影響を緩和しようと試みた。さらに、政府は低所得世帯に配慮して食料品の税率を変更せず、幼児のいる家庭に対し無償の就学前教育を提供している。

 増税実施の前夜、菅義偉内閣官房長官は「我々は、経済の後退のリスクを回避するため、迅速かつ最大限に努力する所存だ」と述べている。アナリストたちによると、消費税率の引き上げは、アメリカと中国の間の貿易摩擦への不安が増大しつつあるこの時期、デフレのリスクをもたらしかねないという。

 それは、企業や消費者がより多くのお金を使うように促すことを狙いとした長年にわたるきわめて緩慢な金融政策が続いた後のことだ。デフレによる経済の低迷から国家を救い出すことを目的として、日本銀行の黒田東彦総裁が数十億ドルの現金を経済に注入した「バズーカ砲」と呼ばれる大規模な緩和策を開始してから6年以上が経過している。

「現在の経済状態を考慮すると、タイミングが良くない」と第一生命経済研究所の主席エコノミスト、永濱利廣氏は語る。

 永濱氏は、昨年後半から経済は減速しており、2020年東京オリンピック開催決定によって起きた建設ブームが生み出した需要は衰退しつつあると指摘している。需要の沈滞によって下落する価格は、成長の主な原動力である投資を控えさせようとする。このデフレのワンパターン化を回避しようとする長年の努力が帳消しになるかもしれないという恐れもある。

 増税によって、推定で2兆円以上の追加負担が家計に重くのしかかることになるだろう。

 新しい消費税制度に組み込まれた除外項目や奨励策が混乱を引き起こしている。たとえば、「持ち帰る」つもりでスターバックスのコーヒーを購入する場合の消費税率は依然として8%に据え置きだが、店内でコーヒーを飲むつもりの顧客は10%の消費税を支払う必要がある。

 企業は、顧客を引き込むために、キャッシュレスで支払いをする場合の値引きやポイント還元への対応を整えつつある。そのため、エコノミストたちは、増税前の大規模な駆け込み需要は発生しなかったと述べている。これは、消費税率が今回さらに上がったことのインパクトは、以前の増税時のダメージほど深刻ではないことを意味するのかもしれない。

「店舗は値引きを行っているようだから、私はそれを利用する。そして、私は高い値札のついた贅沢な商品を買うつもりもない」と60代の主婦、松本さんは言う。

 31歳の会社員、横山さんは「増税が避けられなかったことを認めざるを得ない」と曇りがちな表情で話す。「政府は、増税以外の措置を講じることができたかもしれない。しかし、もう増税されてしまったし、この時点で私ができることはあまり多くない。自分の買い物のパターンが大きく変化するとは思わないけれど、以前ほど頻繁に旅行を楽しむことができなくなるかもしれない」

By MARI YAMAGUCHI Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP