英、景気後退への懸念高まる EU離脱と世界経済減速の二重苦

AP Photo / Matt Dunham, Pool

 7月3日に公表されたイギリスの企業活動に関する注目の調査によると、EU離脱に対する懸念と世界経済の低迷を受け、イギリス経済の急激な減速という警戒すべき兆候がみられた。場合によっては景気後退に陥る可能性もある。

 金融情報企業IHSマークイット社と英購買部協会(CIPS)が発表した調査結果によると、3年前にイギリスが国民投票でEU離脱を決めて以来、景気指数は最も激しい落ち込みを記録した。

 さらに、生産の落ち込みは、10年前の世界的な経済危機の際の急落に次ぐほどだった。

                                                                                                                 

 6月の主要全産業購買担当者景気指数は、前月の50.7から49.2に低下し、低迷が続いていることが示された。今回の指数低下は、当初予定されていた3月29日のEU離脱期限を前にして、それまで企業が積み増していた在庫水準を調整したという要因が一部あるにせよ、企業の間で悲観論が強まっていることが改めて明確になった。

「今後1年の全体的な景況感は、心配になるほど低い水準に抑えられている。この背景には、EU離脱をめぐって破壊的な影響がもたらされる可能性、小売売上高減速の兆候、経済成長見通しの下方修正などがある」とIHSマークイットのクリス・ウィリアムソン主席ビジネスエコノミストは話す。

 イギリスは他国同様、主に米中貿易摩擦の高まりを要因とする世界経済の減速に向き合っていかなくてはならない。しかし、それは来るべきEU離脱の行方が誰も見通せない時期と重なっている。

 メイ首相がEUと交わした合意案をイギリス議会が承認できなかったことで、離脱期限は10月31日に延期された。メイ氏の後任となる保守党党首と次期首相の座をかけて選挙戦を繰り広げているジェレミー・ハント氏とボリス・ジョンソン氏は、EUとの修正合意案が締結されなければ、同日に「合意なき離脱」を認める準備ができているだろうと発言している。

 そのような事態になれば、貿易に関税や各種制限が加えられるため、イギリスは深刻な景気後退に陥ると多くのエコノミストはみている。不透明感が漂う中、企業も未来に対する投資に及び腰になり、EU単一市場への円滑なアクセスが引き続き確保できる大陸の加盟国に移転する可能性があると多くの企業が警告している。

 イングランド銀行のカーニー総裁も、7月2日の講演で予想以上に国内景気が減速していることを示した。

 総裁は景気の現状について、「弱含みつつある世界経済からのマイナスの波及効果が国内に押し寄せているほか、EU離脱の懸念が潜在的な成長にもたらす重しが強まりつつあるようだ」とコメントしている。

 最新の調査結果では、「国内生産が増加していない」と総裁は指摘している。

 総裁の発言は、IHSマークイットとCIPSが3日の調査を公表する前であったことから、2012年10月以来最悪となる工業生産の落ち込み、2009年4月以来最も激しい建設の減少に加え、イギリス経済に悪影響を与える懸念がまた一つ増えた。

 キャピタル・エコノミクス社は今回の調査結果を踏まえ、イギリス経済の当面の見通しに対するネガティブな見方をさらに強めた。今年第2四半期の経済成長率はマイナス0.2%と予想している。

 同社イギリス担当エコノミストのアンドリュー・ウィッシャート氏は、夏場に状況が好転することはないとみている。

「第2四半期末にかけて指数が改善せず、世界の生産活動が減速していることからすると、第3四半期に経済が回復できないリスクが残っている」と話す。

 第2四半期に続いて第3四半期もマイナス成長が続くようであれば、イギリス経済は正式に景気後退に陥る。2四半期連続のマイナス成長は、景気後退の兆候として広く認識されている。

 経済の舵取りをしようとしているハント氏とジョンソン氏のいずれにとっても、これは決して好ましい経済情勢ではない。

By PAN PYLAS Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP