U2コンサートで幕開け ラスベガスの巨大球体施設「スフィア」、新たなエンタメに期待

John Locher / AP Photo

◆新たなエンターテインメント施設への期待
 スフィアを運営するのは、スフィア・エンターテインメント・カンパニーという上場企業だ。同社は「ライブエンターテインメントの未来を再定義する」と名打つ。スフィアというドーム型会場の特徴は、ドーム型としては世界一を誇るというサイズと、ドーム外部・内部の両方を埋め尽くすスクリーンである。ラスベガスのスフィアの外側のスクリーンに画像が初めて映し出されたのが今年の7月。ドームの外側は2億5600ものLEDダイオードで構成されており、そのすべてが異なる色を映し出すことができるという。同社によると、承認され次第、ロンドンにもスフィアの建設を進めるとのことだ。

 スフィアのサイトでは、ユニークな構造を実現するためにさまざまな数式が用いられたことが解説されている。スフィアのカスタム・カメラは、スフィアの湾曲したLEDキャンバスにシームレスにフィットする超広角画像を撮影し、人間の目が周囲の現実世界をどのように見ているかを科学的に反映しているという。また、スフィアの体積は、自由の女神が完全に収まってしまう位のサイズだそうだ。

 現在スフィアで予定されているイベントは、12月中旬まで続くU2の計25回のコンサートのほか、ダレン・アロノフスキー(Darren Aronofsky)監督による「地球からのハガキ(Postcard from Earth)」という映画上映が予定されている。この映画はSF体験として再構築された地球をテーマにした2時間の映画で、今までにない没入体験を提供するものだという。チケットの価格は49ドル(約7300円)から。最も高額なチケットは169ドル(約2万5000円)と設定されている。

 VRでもメタバースでもなく、現実世界の体験をよりシームレスに拡張させるようなドーム型施設での体験。今後どのようなユニークなコンテンツが展開されるのかに期待が高まる。

Text by MAKI NAKATA