砂漠の「まだ存在しない」町、冬季アジア大会開催地に 29年にサウジの未来都市NEOMで

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◆雪の降らない土地にスキー場
 このトロヘナが2029年のアジア冬季競技大会の開催地に選ばれた場所である。アジアオリンピック評議会(OCA)によれば、全会一致で採択された決定だ。(ジェオ誌、10/4)ネオムの公式サイトによると、トロヘナでは「冬の気温が摂氏0度以下に下がり、年間を通してほかの地域よりも10度も涼しい気候」であると妥当性を説明するが、降水量については言及していない。

 アジア冬季競技大会は、スキー、スケート、スノーボード、ホッケーなど28種の雪上スポーツと19種の氷上スポーツを競うもので、雪も氷も大量の「水」が必須だ。だが、サウジアラビアの降水量は非常に少なく、降雨も降雪も期待できない。見渡すばかりの砂と岩の土地に雪山や湖を出現させることが、エネルギー的にも環境的にもどれほどの負担となるかは想像に難くない。

◆疑問視される実現性
 ネオムは、石油に依存するサウジアラビアの経済を多様化させようという戦略「ビジョン2030」の枠組みで生まれた計画で、そのうちトロヘナは2026年の完成を予定している。だが、空飛ぶ車や恐竜ロボット、巨大な人工の月などと、あまりに近未来的な内容を含むこのネオム計画には、各方面から実現自体について疑問の声が挙がっている。

 ましてや、食料品の自給自足やゼロカーボンの達成についてはなおさら懐疑的だ。サウジアラビアは食料の多くを輸入に頼っており、二酸化炭素(CO2)排出量の多い国の一つだからだ。

Text by 冠ゆき