オバマ氏、ナレーションでエミー賞獲得 国立公園のNetflixドキュメンタリーで

Susan Walsh / AP Photo

◆「変化」と「希望」のメッセージ
 政界を離れ、回顧録の執筆やミシェル・オバマとともに立ち上げたメディア制作会社「ハイヤー・グラウンド・プロダクション」を通じたネットフリックス番組のプロデュース、スポティファイのポッドキャスト番組のホストと、メディア・エンターテインメント業界での発信活動を続けてきたオバマ。今回のナレーションもその延長線上だ。その活動には、政治に直接的に関わることはしなくても、社会に変化を起こすためのメッセージを発信し続けたいという意図が滲み出ている。

 今回の『グレイト・ナショナルパーク』でも、自然環境を守ることの重要性を訴えるメッセージがしばしば登場する。同時に、人と自然環境、動物たちがどのように共存できるかという可能性を示唆するようなシーンも出てくる。番組のアプローチも、環境破壊の過去や現状に対して負の側面を強調するようなものではなく、自然環境の再生の力や自然と人間が共存するベストプラクティスを紹介するようなものだ。政治家時代、彼の選挙キャンペーンのテーマであった「変化(change)」や「希望(hope)」は政界を引退してからも継続される、オバマからの一貫した未来志向のメッセージだと言える。

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Text by MAKI NAKATA