ふわふわの美味しさに開眼 日本の食パン、オーストラリアで人気に

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◆GIのお気に入りから進化 「食パンは芸術」
 食パンが日本で店頭に並び始めたのは、第二次世界大戦後からだ。アメリカの占領下で、GIたちが自分たちが食べて育った古き良き白パンを切望していたことから、手に入る輸入小麦と粉ミルクを使い作られるようになった。(食のガイド・サイト『グッド・フード』)

 もっとも日本の食パンは、いまではすっかり芸術の域に達しているとグッド・フードは指摘する。食パンはサンドイッチに最適なパンで、正しく作られた「サンド」は、正確さの典型であり、美しく、技術的で建築的だとしている。シドニーなどのカフェでは、薄いパンの間に肉厚のカツと千切りキャベツがピタッと収まった切り口の美しいカツサンドなどに行列ができているそうだ。

 ガーディアン紙は、食パンの柔らかさは、日本料理におけるパンの役割の違いを強調しているとする。欧州では、パンはオープンサンドのベースやスープをすくうために使われことが多く、液体に浸してもベチャベチャしないことが大切だ。一方、日本ではスープはご飯や麺と一緒に食べることが多く、パンは主食というよりおやつのような存在だと解説する。たとえば、フルーツサンドはアフタヌーンティーとデザートの中間のような見た目の美しい持ち帰りスイーツだとしている。

 サンドだけでなく、食パンの厚切りトーストも注目されている。欧米ではトーストは薄いパンを使い、ポップアップトースターで焼くのが一般的で、オーブントースターで焼く厚切りトーストは日本ならではのものだ。日本の昭和の喫茶店をイメージして作られたメルボルンのカフェ「Le Bajo」では、厚切りトーストにポテトサラダ、ゆで卵、ヨーグルトなどをつけた名古屋風モーニングセットを提供。明太マヨや小倉トッピングもできる本格派ということだ。(豪SBS

◆観光ブームの影響? 親しみやすかった日本の味
 オーストラリアに食パンを持ち込んだのは、日本人や日本にゆかりのある人たちだが、その文化は地元の人々に広がりつつある。食パンメニューを提供するカフェのオーナーは、オーストラリア人の食パンへの親近感は、日本旅行の影響が大きいのではないかと見ている、2019年には、オーストラリア人に人気の観光地のトップ10に日本が入っており、日本のパンの味を覚えた人たちには受け入れやすかったのだろうとしている(ガーディアン紙)。

 最近では、東南アジアのフレーバーを加えたサンドも登場しているという。逆輸入ともいえる食パンに他国のテイストが合わさり、日本発の食文化は海外で多様性を増しているようだ。

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Text by 山川 真智子