世界が見た「ちょっと変わってて強い」大坂なおみ 全豪決勝での精神力には脱帽

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◆ユーモアで隠れた? これまで力は過小評価
 しかし、コートの外でのお茶目ぶりのせいなのか、彼女の真の実力は見過ごされがちだったとテレグラフ紙は述べる。強烈なサーブとフォアハンドを武器に10代から注目されてきた大坂は、2017年からはサーシャ・バイン氏をコーチに迎え大きく成長。昨年の全豪大会では16強入りし、全米オープンでは、スーパースターのセリーナ・ウィリアムズを破って優勝している。

 ところが全米決勝は、セリーナが審判に噛みついたことからまさにカオスとも言える試合となったため、優勝は大坂の力が上だったのではなく、単にセリーナが自滅したからという見方もあったと豪フォックス・スポーツは伝えている。また、大坂のメンタル面の弱さはずっと問題視されてきたとも述べており、シンガポールのストレーツ・タイムズ紙も、若い大坂の全米優勝をまぐれとする見方もあったとしている。

◆予想を覆した第3セット 強い精神力を証明
 しかし先の全豪ファイナルでは、そういった懐疑的な意見を払しょくするできごとが起こった。大坂は第1セットを奪った後、粘るクビトバに苦戦し、第2セットを落としてしまう。ラケットをコートにたたきつけるなど、イライラした姿を見せ、トイレ・ブレイクに向かう際には、涙を浮かべるほど自制心を失っていた。このまま負けるのかと思われたが、第3セットでは見事に復活し、優勝を手にしている。

 いったいどうやって立ち直ったのかという質問に、大坂は「この時間を楽しみたい。去年は4回戦で負けたけど、今年はファイナルにいる。この事実に喜びたい。ただ後悔したくない」と思ったと答えている。コートに戻ったあとは、心を空っぽにし、まるでロボットのように、自分からの命令を実行したという。これまで練習してきたことを出し、過剰反応でエネルギーを無駄にすることがなかったと、試合後の会見で振り返っている(インデペンデント紙)。

Text by 山川 真智子