ミニファミコン、全米でPS4とXbox Oneより売れる 再販後9日間で月間トップ

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 6月下旬に販売再開したニンテンドークラシックミニ(以下ミニファミコン)が、全米セールス・チャートで現行世代のゲーム機を凌ぐ売れ行きを見せている。わずか9日間の販売台数がプレイステーション4(以下PS4)とXbox Oneそれぞれの月間販売数を上回り、オリジナルの発売から35年が経つハードの根強い人気が証明された。

◆最新機種を抑えて首位
 ミニファミコンは2016年11月に発売され、人気のため品切れとなっていた。任天堂は再生産を行い、今年6月29日に販売を再開している。市場調査会社の米NPDのデータによると、6月期(6月3日から7月7日まで)の販売台数でPS4とXbox Oneを上回った。集計対象期間はおよそ1ヶ月間だが、ミニファミコンの販売再開は6月29日であったため、実質9日間で他のプラットフォームの1ヶ月強の販売台数を抜いたことになる。なお、60ドルのミニファミコンに対してPS4は300ドルと高額であるため、販売額としてはPS4が首位を確保した。

 PS4とXbox Oneに加え、自社の最新ハードであるニンテンドースイッチも抜く結果となり、ヴァージ誌(8月2日)は、「1983年に元祖ファミコンが発売されてから35年経つが、明らかにまだ人気がある」と述べている。

◆北米版のオリジナリティ でも人気は日本版?
 北米版ミニファミコンは、ファミコンの欧米向け商品名であるNES(ニンテンドー・エンターテインメント・システム)を踏襲し、「NESクラシック・エディション」と呼ばれている。白と赤を基調にした日本版とは異なり、オリジナルのNESのデザインをそのまま小型化したグレーのデザインになっている。

 デザインに加え、日本版と北米版とでは収録タイトルが異なる。「スーパーマリオ」「ドンキーコング」「グラディウス」などのタイトルは共通して収録されているが、日本版でプレイできる「ファイナルファンタジー3」がなく、代わりに同作の一作目が付属するなどの違いがある。ソフトを差し替える初代ファミコンと異なり、どちらも事前にインストールされた合計30本を楽しむことができる。ギーク誌の記事では日本版のタイトルを遊びたい読者に個人輸入を勧めており、日本版の熱心なファンがいることを伺わせる。

 日本版は、スーパーファミコンのミニ版が昨年発売された際にもアメリカのファンの羨望の的となっていた。Kotaku誌は美しいデザインや「ファイアーエンブレム」の収録があることなどを挙げ、アメリカ版よりもPAL/JP版(日・欧・豪で販売)のスーパーファミコン・ミニの方が優れているとしている。

◆任天堂の過去と未来の戦略
 人気絶頂のミニファミコンだが、シリーズをめぐる任天堂の戦略は謎に包まれている。エンガジェット誌は、ミニファミコンが絶大な人気を集めたにもかかわらず、なぜ一時販売中止となっていたのかは明かされていないと指摘。供給を抑えるマーケティング戦略であったか、またはスイッチの販売促進を狙ったのではという推測を披露している。

「ミニ」シリーズの将来的な展開も現時点では明かされていない。ヴァージ誌は、ニンテンドー64やゲームボーイなど、一世を風靡した他のハードについても復刻版がリリースされる可能性があると見ている。記事では、ファミコンとスーパーファミコンの復刻版、そしてニンテンドースイッチの発売の際には、生産が追いつかなかったと振り返っており、任天堂のゲーム機には全般的に高い需要があるとしている。

 入手困難だとして国内で話題になったミニファミコンだが、アメリカでもファンの熱烈な支持を受けているようだ。

Text by 青葉やまと