ハリウッドからバッキンガムへ ヘンリー王子が選んだメーガンさんはこんな人

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 イギリス王室の王位継承順位第5位のヘンリー王子(ハリー王子)と婚約したアメリカの女優メーガン・マークルさん(イギリスでは「メガン」の発音のほうが近い)。挙式は2018年5月19日に決定した。メーガンさんの肩書きで「女優」以外によく使われるのが、「人道主義者」や「活動家」というものだ。生前、慈善活動を精力的に行ったダイアナ元妃の次男ハリー王子が人生の伴侶として選んだメーガンさんは、単に美しいアメリカの女優というだけには止まらない。

◆人種を問われ続けた日々
 メーガン・マークルさんは1981年8月4日、カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれた。母親のドリア・ラグランドさんはアフリカ系アメリカ人でセラピスト、父親のトマス・マークルさんは白人で、テレビ番組の撮影監督をしていた(エクスプレス)。メーガンさんが5歳の時に両親は離婚しメーガンさんは母親と暮らしたが、両親は離婚後も仲が良かったらしい。メーガンさん自身も学校が終わると父親の仕事場に10年間毎日遊びに行っていた、と2013年に米雑誌エスクァイアとのインタビューで話している。父親のトマスさんは当時、フォックスで放送されていた人気番組『Married… With Children』(1986〜1997年)の撮影監督をしていた。メーガンさんが芝居や芸能の世界に入ったのは非常に自然なことだったようだ。

                                                                                                                 

 芸能の世界に入ったメーガンさんだったが、その外見から、白人の役柄には黒人的すぎる、黒人の役柄には白人的すぎるという理由で、なかなか役を得ることができなかったらしい(ガーディアン)。そんなメーガンさんがよく人から聞かれるのが、「あなたは何者なの?」という言葉だ、と雑誌エルに2015年7月に書いている。つまり、メーガンさんの両親はどこ出身なのか、メーガンさんの人種は何なのか、という質問だ。そんなこともあり、メーガンさんは人種差別やハーフということに敏感になったという。米テレビ局USAネットワークが2013年に展開した人種差別撲滅運動のビデオでは、自分の体験を語っていた。

◆行動することで変えられると知った体験
 一方、メーガンさんは女性の地位向上に向けても活動をしている。2015年の国際女性デーには国連の「UN Women」会議でスピーチを行い、メーガンさんが11歳の時にあった体験を話した。学校で見たプロクター&ギャンブル社(P&G)のテレビコマーシャルで「全米の女性が油まみれの鍋やフライパンと戦っている」というキャッチコピーを聞き、クラスメートの男子にも「女がいるべき場所は台所」と言われショックを受けたという。帰宅して父親に相談したところ、手紙を書くよう提案された。小学生だったメーガンさんは当時のファーストレディだったヒラリー・クリントン氏や「フェミニスト弁護士」として知られていた女性弁護士、そしてP&Gなどに、キャッチコピーの「女性」を「人」に変えて欲しい、と手紙を送ったという。約1ヶ月後、CMは「全米の人が油まみれの鍋やフライパンと戦っている」というコピーに差し変わった。ABCニュースでは、当時のメーガンさんの様子や変えられたコマーシャルを紹介している。平等に向けて立ち上がる行動がもたらす影響力をこのとき実感した、と国連のスピーチでメーガンさんは述べている。

 メーガンさんはこの他にも、非政府組織(NGO)ワールドビジョンの世界大使として、ルワンダに清潔な水をもたらす活動を行っている。

◆大西洋の架け橋に
 ところでイギリス王室では、英国国教会の教えや1772年王室婚姻法もあり、庶民、カトリック教徒、離婚経験者との結婚は歴史的に禁じられてきた。イギリスの国王だったエドワード8世が、2度の離婚を経験しているアメリカ人女性と結婚するために1936年に退位したのは有名な話だ。エリザベス女王の妹のマーガレット王女も、離婚経験者の男性との恋を貫くなら王位継承権を放棄しなければならない、と迫られ、1955年に、当時の恋人と別れて王位継承権を選んでいる(エクスプレス)。現在この法律は廃止され、英国国教会の離婚に対する考えの軟化もあり、女王の許可があれば庶民や離婚経験者と結婚できることになっている(王位継承順位7位以下は女王の許可は不要)。いうまでもなく、2005年にはチャールズ皇太子が離婚経験者のカミラ・パーカーボウルズさんと結婚しており、2010年には庶民のキャサリン・ミドルトンさんがウィリアム王子と結婚しケンブリッジ公爵夫人となった。

 メーガンさんの実際の信仰は明らかになっていないものの、カトリック系の学校に行っていたことは知られている。また離婚経験者であり貴族の出ではないことからも、時代が時代なら、ハリー王子は王位継承権を放棄しなければならなかったかもしれない。そう考えると、イギリス王室が時代の流れとともに現代化していることが分かる。

 メーガンさんは前述の国連などの活動の他にも、2016年のアメリカ大統領選でヒラリー氏を応援するなど、政治面でも積極的だった。しかしイギリス王室のメンバーは政治的な活動は一切許されていないため、今後メーガンさんは、こうした動きができなくなる。とはいえ、英語圏の人たちが「池」と呼ぶ、池にしてはあまりにも大きな大西洋の架け橋になることは間違いないだろう。そしておそらく、心の問題をもっと相談しやすい環境を作る活動などハリー王子が取り組んできた数々の慈善活動にも、大きな力になるに違いない。

Text by 松丸さとみ

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