活き造りや踊り食いは残酷か 日本の丼で海外で議論白熱 結論は生き物を……?

Miya.m / WikipediaCommons

 ユネスコの無形文化遺産に登録された和食。農林水産省によれば、その特徴は4つあるという。そのうちの一つは、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」である。しかし、鯨や馬を食するなどの“多様”性に富み、踊り食いなどに代表される“新鮮”すぎる日本の食文化に、ついていけないという声も海外でたびたび上がっている。

◆食文化と見るか、残酷と見るか
 世界中のグルメを集める食のウェブサイト、『ハングリー・フォーエバー』で紹介されているのは北海道の函館で食べることができる『活いか踊り丼』。丼に盛られた新鮮なイカに醤油をかけるとその塩分に反応した筋肉の反射のせいでイカが生き返ったように動く、という名物料理である。このご当地グルメは、YouTubeや世界中の面白コンテンツを集めるUNILADでも紹介されており、UNILADのFacebookページでは「残酷だ」というコメントが当然ついている。

 それに対して「ただの筋肉の反射であって、生きているわけではない」「野生の動物はもっとひどいことをしている」という書き込みがあるとそこには、「野生の動物は自分が生きるために殺しているだけだ」「イカの脳は目と目の間にあるから、頭を取っても脳は感じている。そのため、痛みを感じているはずだ」とコメントが付く。するとまた誰かが、「イカやタコは下等な動物だから感覚が鈍く問題ない」と反論し、それに対して「誰がイカやタコは下等な動物だと決めたんだ」……と、多くのユーザーが持論を展開し、論点があちこちに飛び火する勢いで喧々諤々の様を見せている。

 このような日本の食だけでなく、これまでもエスキモーがアザラシを食することなどが世界的に注目を浴び、それらの行為を一つの民族の食文化と見るか、残酷な行為と見るかは毎回、大きな波紋を投げかける。

Text by 西尾裕美