トヨタらの認証不正、海外の反応は? 英紙「絶好の機会が危機に」

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 政府の調査によって明らかになったトヨタ自動車の検査不正は、同社の評判に大きな打撃を与えた。相次いで他社でも発覚した一連の不正事件が、海外でも関心を呼んでいる。

◆不正は過去10年間に及ぶ
 米ニューヨーク・タイムズ紙(6月3日)は、トヨタが過去10年間に複数のモデルで車両テストを不適切に行っていたことが内部調査で判明した、と報じた。人気のヤリスクロスSUVを含む3モデルで、日本政府の認証基準を満たすため、歩行者および乗員安全テストで不正なデータを提出していた。事態を受けてトヨタは、対象3モデルの生産・出荷の一時停止を決定した。

 英フィナンシャル・タイムズ紙は、トヨタの今回の件を「評判的に悪夢」とし、グループの不正を併せて報じている。ダイハツは、1989年までに遡り、衝突安全テストの結果を操作していたことが判明している。さらに、トヨタの別の子会社である日野自動車は、2003年まで遡り、排出ガスデータの改ざんを行っていた。

◆ほかのメーカーでも続く不正の発覚
 トヨタの認証不正問題は、同社の評判に深刻な影響を与えている。フィナンシャル・タイムズ紙は、トヨタの株価は3月のピークから14%下落していると指摘し、今後の調査次第ではさらなる影響が予想されるとみる。

 また、ライバルのフォルクスワーゲンの9年前の排ガス不正問題に言及。同社の評判がいまだ完全には回復していないとしたうえで、「ドライバーにとって、走行中の車の安全こそが、排出ガスデータよりも切実な関心事だろう。この論争の拡大は、トヨタが世界市場でシェアを拡大する絶好の機会を危うくしている」と述べる。

 不正問題はトヨタだけでなく、日本の自動車業界全体の信頼性に影響を及ぼしている。ニューヨーク・タイムズ紙は、ホンダ(騒音テスト)やマツダ(エンジン出力)も同様のテスト不正を認めており、スズキやヤマハ発動機も過去に不適切なテストを行っていたことが判明していると指摘する。日本製品の優れた製造品質と信頼性に対する消費者の認識が揺らぎ始めている、と記事は論じる。

 同紙によると、格付け会社フィッチ・レーティングス・ジャパンの青山悟シニア・ダイレクターは、安全性への影響は限定的との見方を示したうえで、「日本製品の製造と品質は優れているという認識が長い間あったが、このような不正の事例が何度も出てくることで、認識が変わり始めているのかもしれない」と指摘している。

◆「意味の無い謝罪」ネットでは厳しい声
 ネット掲示板のレディットでは、厳しい声が聞かれる。

 「(トヨタは)捕まったから謝っただけ。価値のない謝罪」
 「創業者の孫である豊田氏は、一部の認証規則が世界基準と比較して厳しすぎるとほのめかしている。巨大企業が恣意的にルール違反を犯すとは」
 「マツダとホンダも不正行為について謝罪している。もっと大きな問題の兆候かもしれない」

 一方、いくつかの不正は安全に関わるほど大きな問題ではないとの声も出ている。

 「ほかの人も指摘しているが、ホンダの場合は(安全に直接関係しない)単なる騒音テストでの不正だった」
 「スズキのケースでは、ブレーキテストでブレーキペダルに十分な力がかかっていなかったため、制動距離がテスト結果より短いように書き換えたようだ。不正というよりは単なる手抜きに思える」
 「その通り。問題がないとはいえないが、ディーゼルゲートのように悪い結果を隠蔽するために悪意を持ってテスト結果を操作したわけでもない」

 日本のお家芸でもある自動車産業での不正問題に、海外でも不安が広がっているようだ。

Text by 青葉やまと