「トヨタに謝らないといけない」世界で見直されるトヨタの全方位戦略 HV販売好調で

Toyota Motor Sales, U.S.A., Inc.

 トヨタはかつて電気自動車の戦略で世界から批判を受けた。BEV(ガソリンを使用せずバッテリーのみで駆動する電気自動車)の普及は早々に進まないと判断し、ハイブリッドを豊富に展開して消費者に選択の幅を持たせる方針だった。電気自動車への移行が遅れているとして投資家などから批判を浴びてきたが、ここにきてその正しさが証明されつつある。

◆テスラとの比較で際立つトヨタの正当性
 フィナンシャル・タイムズ紙(2月26日)は、「過去10年間、自動車業界で最も声高にハイブリッド車を擁護してきたトヨタの経営陣は、ある種の正当性を感じてもおかしくはないだろう」と述べ、かつて批判を浴びた戦略が実は真っ当であったと評価している。

 トヨタは過去10年ほど、BEVでなくハイブリッドを製品展開の軸に据えてきた。米フォーチュン誌はトヨタの読みの正しさを、テスラとの比較において論じている。同誌によるとトヨタのハイブリッド世界販売台数は、2022年の260万台に対し、昨年はおよそ340万台にまで伸びている。トヨタ自動車は3月31日締めとなる今会計年度の営業利益見通しを、9%近く上方修正した。反面、全車種をBEVとしているテスラは昨年、180万台にとどまった。

Text by 青葉やまと