給料そのまま、英で「週休3日」大規模実験 3300人参加、期間6ヶ月

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◆時短で生産性アップ 幸福感は必ずしも比例せず?
 短時間勤務の実験は過去にも行われており、日本のマイクロソフトやアメリカのバッファーなど大企業における試みでも、生産性が高まるというポジティブな結果が出ている(SHRM)。2500人の公共部門労働者を対象に、2015年から2019年にかけてアイスランドで行われた時短労働の実験では、参加者の生産性に時短に伴う低下は見られず、従業員の幸福度も劇的に向上したことがわかった(CNN)。

 しかしハーバード・ビジネス・レビュー誌の寄稿記事では問題点も指摘されている。ニュージーランドの週4日労働移行の実験では、変更後に就労時間内に仕事をこなすのに苦しむ労働者が出た。そのため休憩時間を短縮したり、同僚と交流する時間を減らしたりするなどの行動も見られ、必ずしも労働日数の削減が幸福感をもたらすものではないことが示された。また管理職の側にも、業績評価や監視、生産性に関するプレッシャーが強まったことがわかった。

 記事の執筆者たちは、日本マイクロソフトの週4日労働実験は生産性の大幅な向上での成功例として広く注目を集めたと指摘。しかし雇用者が従業員のライフワークバランスに投資しているとみられたいのであれば、幸福感よりも生産性を重視することには注意すべきだとしている。

◆週4日労働は魅力 実現に向け実験続々
 もっとも労働者の間では時短労働の魅力は高く、人材派遣会社ラダーズの調査では、同じ給料なら週4日勤務の企業に移る、またはすでに移ったと答えた人が79%に上ったという。同社のCEOデイブ・フィッシュ氏は、週4日労働導入はビジネスにとってのメリットとデメリットを慎重に検討した上で決めるべきだとしているが、導入している企業のほうが採用に有利であることを調査の結果が強く示しているとした。(SHRM)

 イギリスの実験では研究者たちが生産性への影響や労働者の幸福度を測ると同時に、環境やジェンダー平等などへのインパクトも調査するという。スペインやスコットランド単独でも週4日労働の実験が始まる予定で、時代に合った働き方を模索する動きが進んでいる。

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Text by 山川 真智子