ツイッターを改革か? マスク氏取締役就任への期待と不安

Patrick Pleul / Pool via AP

◆言論の自由に固執 ツイッターを改革か?
 ロイターによれば、マスク氏はツイッターの共同創設者で前CEOのジャック・ドーシー氏とパラグ・アグラワルCEOに接触し、役員になりたいと伝えたという。

 マスク氏はツイッターが大好きで、ファンとの直接のコミュニケーション、荒らし行為、重大ニュース発表のツールとして利用している。しかし、自らを言論の自由の絶対主義者と呼んでおり、ツイッターのプラットフォームとポリシーには批判的だ。ロシアがウクライナに侵攻したことで、ツイッターはロシア政府関連のアカウントにラベルを付けているが、そういった制限を設ける方針に反対している。(アトランティック誌

 マスク氏は最近では「言論の自由の原則を守っているか」「ツイート編集ボタンを望むか」などをユーザーに問うツイッター投票を行っており、ロイターはマスク氏が新しい地位を利用してツイッターに大きな改善を加える計画だと報じている。ドーシー氏とアグラワル氏は、新たなアイデアと話題性をもたらすことができるとし、マスク氏を役員に迎えることを歓迎している。

◆マスク氏の意向反映か? 影響力に懸念も
 ツイッター社は、実際にメッセージを編集する方法に取り組んでいるとツイートしている。もっとも前CEOであるドーシー氏は2020年1月に、編集ボタン実装はおそらくないと主張。現在の設定が、編集不可というツイッターのテキストメッセージ起源の精神を守るものだとしている。また、すでに他の人によって大量に流布されているツイートにユーザーが変更を加えることで混乱が起きることも指摘していた。ツイッター社は昨年から編集に関する取り組みを行っているとし、マスク氏の取締役就任とは無関係だとしている。(AP

 英金融サービス会社ハーグリーブス・ランズタウンのスザンナ・ストリーター氏は、マスク氏は取締役就任によって自身とその企業のブランド力を高める目的でツイッターの運営に過度の影響を与えるのではないかという懸念があると指摘している。(ロイター)

 アトランティック誌は、過去を調べればマスク氏の言論の自由に対する姿勢は絶対的なものではないとわかる、と批判的だ。自分の言いたいことは何でも言うが、他人の言いたいことが気に入らないときにはいら立ち、自分のファンには親切だが、批判する人には興味がないというのがマスク氏だと指摘。実際のところマスク氏の「言論の自由」は、力のある者だけが好きなことを言い、悪い結果からは逃れるというものであるようだとしている。

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Text by 山川 真智子