トランプvsツイッター、大統領令騒ぎに発展 「事実確認」に報復

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 ツイッターが大好きで、1日に何度も投稿しているトランプ大統領。軍の最高司令官としての大統領を指す「コマンダー・イン・チーフ」をもじった「ツイッター・イン・チーフ」というあだ名までつけられたトランプ氏は、すでにツイッターへの投稿が中毒、あるいはストレス解消になっているのではないかと思われるほどのご執心ぶりだ。

 ツイッター側はこれまで、罵詈雑言を含め、あることないことを世に発信するトランプ大統領を野放しにしてきた感が否めない。しかし、ここにきてトランプ氏が選挙における投票に関して虚偽の投稿をしたため、初めて「注意」を促して注目を集めた。
 
◆トランプ氏、ツイッターの「事実確認」で激怒 
 CNNによると、トランプ大統領は5月26日のツイッター投稿で「郵便(不在者)投票は大々的な選挙不正につながる」と主張。ちなみに、アメリカではもちろん郵便投票(Mail-in ballots)は合法であり、本当に不在ではなくても単に忙しかったり、投票所に行きたくない人でも利用している人が多い。当のトランプ氏もフロリダ州に住所を移しており、郵便で投票している。

 現在アメリカでは新型コロナウイルス対策として郵便投票を奨励している州も多く、民主党員が投票しないことを期待していると思われるトランプ大統領はこの動きに焦ったのか、最近やたらと郵便投票に難癖をつける発言をすることが多い。

 報道によると、26日のトランプ氏投稿を受けて、ツイッター側はこれに「郵便投票に関する事実を知ろう」というメッセージをつけ、事実確認のページに続くリンクを張った。

 それを見たトランプ大統領は激怒したらしく、同日また「ツイッターが2020年の大統領選挙に干渉している」「ツイッターが発言の自由を完全に抑えつけている」とツイッターに投稿。もちろんこれは事実の捻じ曲げであり、またトランプ氏が合衆国憲法を正しく理解していないことが伺える。トランプ氏のツイートには憲法修正第一条のコピーとともに「憲法では、発言の自由は政府(あなた)が国民に対して行うことが禁止されている。また、報道の自由をあなたから守る役割も果たしている。あなたを事実確認から保護するものではない」という、これまた「事実確認」的な返信も見られた。

 ツイッターCEOのジャック・ドーシー氏は「これ(事実確認)は私たちを『真実の裁定者』とするものではない」としながら、「私たちの意図は、矛盾する発言の点をつなげ、論争されている事実に関する情報を提供して、人々に自分で判断をしてもらうことだ」とツイッターに投稿している。

Text by 川島 実佳