トランプvsツイッター、大統領令騒ぎに発展 「事実確認」に報復

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◆仕返しでソーシャルメディアに大統領令発動
 しかし、トランプ氏はいったん怒ると何が何でも仕返しをしないと気が済まない性格なのかもしれない。ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)によると、トランプ氏は28日、ソーシャルメディア各社を弱体化するための、かなり個人的な感のある大統領令に署名した。トランプ氏はこの大統領令について「我々は発言の自由を防御するためにここにいる」と主張。しかし、前述したようにアメリカにおける「発言の自由」は個人の発言の自由を政府から保護するために存在するものであるため、今回の大統領令に法的拘束力があるかどうかには疑問が残る。

 その後、アメリカ中で拡大する黒人差別に対する抗議デモと暴動が発生し、この件はニュースメディアから数日忘れられていた。しかし今月2日、IT情報サイト『テッククランチ』は、IT系非営利団体センター・フォー・デモクラシー・アンド・テクノロジー(CDT)がトランプ氏の大統領令がツイッターを攻撃する「単なる反動的な」大統領令であり、政府の力で「憲法で保障されている発言の自由を縮小しようとするものだ」とトランプ大統領を裁判所に訴えた。

 この件については今後最高裁判所まで到達する可能性が高いが、ツイッターをはじめ私企業であるソーシャルメディア各社を相手にする大統領令は、明らかに憲法修正第一条に矛盾している。今後、裁判所で判事がどのような判断を下すかによってはアメリカにおける憲法の解釈について大きな議論が生まれそうだ。

Text by 川島 実佳