「おしゃべりレジ」でゆっくり会計 フランスのスーパーなどで設置進む

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 ちなみにハイパーマーケットというのは、フランスでは表面積2500平方メートル以上の大型スーパーを指す。食料品だけでなく、日用雑貨、服飾、電化製品、書籍、園芸用品など多岐にわたる製品を扱う。新型コロナの影響もあり変化が生じているものの、フランスでは週に1度ハイパーマーケットで大量に商品を買い込むライフスタイルを取る家庭が多い。その際、問題となるがレジの混雑だ。ひとりひとりの買い物量が多いため、2、3人並ぶだけでかなり長く待つことになる。セルフレジの登場は、その混雑解消を大きな目的としており、実際、買い物量が少ない人や時間がない人には重宝されている印象だ。

◆人々の交流の場だった「市」
 ブラブラレジに関する各種メディアの記事を読むと、どこでもおおむねブラブラレジ設置について顧客の評判は上々のようだ。カルフールの買い物客の「気分が下がりがちな昨今、他人と笑顔や会話を交わすのは気分を上げてくれる」という言葉はその代表と言えるだろう(アクチュ)。

 また、同様の効果はレジ打ち担当側にもあるようだ。ハイパーUのブラブラレジ担当者は「ちょっとつまらないと思っていたこの仕事に別の意義を見出せるようになった」と打ち明けている(20minutes紙、1/31)。

 面白いことに、ブラブラレジの評価は顧客の性別や年齢に左右されないようだ。カルフール・シャルトル店で顧客サービスを担当する店員は「最初はシニアの利用が多いだろうと踏んでいたが、実際は40代、50代、またさらに若い世代の利用も多いことがわかった」(BFMTV)というし、ほかのチェーン店も「ブラブラレジを好む客層に偏りはなし」(アクチュ)と見る。

 考えてみれば、「市」を立てていた時代から物資の流通現場というのは人々の交流の場でもあった。ブラブラレジはその原点を思い起こさせる。今後はスピードを求めるときはセルフレジを使い、そうでないときはブラブラレジで会話を楽しむという、レジの使い分けが当たり前になるかもしれない。

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Text by 冠ゆき