日本企業も対応不可避、欧米でますます高まる「人権デューデリジェンス」意識

米ワシントンDCで抗議活動をする人権団体「東トルキスタン国民覚醒運動」(12月22日)|Alex Brandon / AP Photo

 また、9月下旬に共同通信が実施した調査によると、同綿花を使用してきた企業18社のうち、3社がすでに中止、5社が今後中止する、4社が使用量を減らす、1社が使用を一時停止、5社が継続とそれぞれ答え、人権デューデリジェンスによって企業の経済活動が制限される動きが強まっている(中日新聞)。

◆紛争化する経済領域
 バイデン政権と習政権の外交姿勢を見る限り、来年もこの情勢は続く。そして経済のグローバル化のなかでは軍事オプションのハードルは高く、その分、経済領域の紛争化はますます拍車がかかる恐れがある。米国や英国、オーストラリアなどはすでに来年2月の北京五輪での外交的ボイコットを宣言しており、対立が続く蓋然性もはっきり見えている。それによりさらに人権デューデリジェンスへの意識が欧米企業を中心に高まるなか、日本企業が強制労働が疑われる中国企業と取引があるなどと勝手に判断され、知らないうちに欧米企業との間で摩擦が生じるリスクも十分にあり得る。企業にとっては難しい環境が来年も続くことだろう。

【関連記事】
ウイグル人強制労働で作られた部品、アップル、サムスンなどに納入か
アメリカのウイグル族「ジェノサイド」認定めぐる、米中英の動き
ウイグル人強制収容所からの人毛ウイッグ、米税関が押収

Text by 和田大樹