仏軍がファッションブランド展開?! 大統領府もネットショップでイメージアップ

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◆フランスのノウハウを奨励するエリゼ宮ブランド
 独自ブランドとオンラインショップを用いてイメージ戦略を図るこれらの軍隊の動きに大きく先駆けたのが、大統領府であるエリゼ宮だ。2018年9月に独自ブランドのオンラインショップをオープンしている。同ブティックが扱うのは100%メイド・イン・フランスの製品のみ。フランスの技術を奨励し、その価値を高めることを第一の目的としている。

 並ぶ商品は、グラスやカトラリー、マルセイユ石鹼、テーブルクロス、アロマキャンドルなどの生活用品に、アクセサリーや衣類などのモード製品や文具類と、手ごろな価格のものからかなり高価なものまで幅広い。フランスならではのものばかりだが、とくに珍しいものとしては、フランス南部発祥のスポーツ、ペタンクのボールセットが挙げられる。いずれも、フランスの色であるトリコロールが用いられ、いかにもフレンチな仕上がりだ。

◆意外に多い日本からの注文
 立ち上げ当初は、ネット上に商品のパロディ版が出回り揶揄されたりしたが、一年後には100万ユーロの売り上げを記録し、「これほどの成功を収めるとは思わなかった」とエリゼ宮も驚きのコメントを発表した(BFMTV、2019/9/19)。

 商品のひとつ、マクロン大統領の愛犬ネモをモデルにしたぬいぐるみについては、その人気に関して、ボリス・ジョンソン英首相にまつわるエピソードが残っている。なんでも、2019年の8月にG7のため訪仏したジョンソン首相が一目惚れして購入を決めたところ、マクロン大統領がそれを押しとどめカードを添えてプレゼントしたというのだ。ぬいぐるみの値段は99ユーロ。ちなみに一体購入されるごとに、フランスの動物愛護協会にイヌ1匹の約1週間分のエサが寄付される仕組みとなっている(フランス3、2019/2/4)。

 注文の多くはフランス国内からだが、国外、とくに日本からの注文も少なくなく、需要にこたえようと、2019年9月からは英語版のページも設けた。国家も軍隊も、ブランド創設によってイメージアップを図る時代になったということか。

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Text by 冠ゆき