米アマゾン、配送業で起業する従業員を支援 最大1万ドル支給など

AP Photo / Patrick Semansky

 荷物の配送時間短縮に向けしのぎを削るアマゾンは、自社社員を対象とし、退職すればアマゾンの商品配送会社の立ち上げを支援するという制度への参加者を募っている。

 今回の支援制度は、5月13日に発表されたもので、アマゾンが掲げるプライム会員への商品配送日程を2日間から1日に短縮するという目標の達成に向けて発足された。同社は新たな奨励金制度について、購入者の自宅までより多くの商品をより早く届ける手段の一つだとしている。

 アマゾンによると、奨励金制度に応じて退職する社員には、最大1万ドルが支給される。参加者にはまた、スマイルマークのようなアマゾンのロゴを側面にプリントした、青色の配送車も貸し出される予定だ。同社はさらに、給料3ヶ月分に相当する資金を参加者に提供するとしている。

                                                                                                                 

 支援制度の募集対象は、アマゾンのパートタイム、フルタイム社員のほぼ全員となっており、受注した商品の箱詰めや発送を担当する倉庫作業員も対象だ。ただし、ホールフーズ・マーケットの社員には、今回の奨励金を受ける資格はない。

 シアトルに拠点を置くアマゾン・ドット・コムは、どの程度の応募者が見込まれるかについては明かしていない。

 アマゾンは退役軍人向けの補償として、希望者にアマゾンの商品配送を担う独立会社を立ち上げてもらい、1万ドルを支給するという取り組みを1年前に開始しているが、新たな報奨金制度は、その一環として発足されたものだ。

 この取り組みが拡大された背景には、ユーピーエスや郵便局など他の運送業者に頼むのではなく、より多くの配送作業を自社で管理しようというアマゾンの計画がある。物流とサプライチェーン輸送を主に研究している、ワシントン大学アーバン・フレイト・ラボのバーバラ・イワノフ所長によると、これにより車両の購入費や新規雇用費用をかけずに、アマゾンの配送網を充実させることもできる。

「アマゾンにとって、賃金は問題とはなりません」とイワノフ氏は言う。

 アマゾンのグローバル・デリバリーサービス担当副社長によると、同社が取り組みを始めた昨年6月以降に立ち上げられたアマゾンの商品配送会社は、200件超にのぼる。

 このような配送会社の一つとして、8ヶ月ほど前にアトランタで自身の会社を立ち上げた輸送仲介業者、ミルトン・コリアー氏の運営する会社がある。立ち上げ以降、同社の社員数は120人にのぼり、50台の小型トラックを所有し、1日あたり最大200ヶ所に荷物を届けることができるまでに成長した。同社はすでに社員数を増やし、即日配送にも対応できるよう準備を進めている。

 コリアー氏は、「準備は整っています」と言う。

 しかし、オーバーン大学でサプライチェーン・マネジメントを研究するベス・デービス=スラメック教授は、アマゾンはまだ、ユーピーエスやフェデックスにとっての脅威とは到底なり得ないと言う。ユーピーエスをはじめとする運送業者は、荷物を目的の場所へ届けるために、数千台のトラックと数百機の飛行機を所有している。さらに、自宅へ荷物を届けるだけでは終わらない。倉庫・企業間の荷物の配送も担っている。

「ユーピーエスやフェデックスには何の問題もないでしょう」とデービス=スラメック氏は言う。

By JOSEPH PISANI AP Retail Writer
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP