2018年の実質昇給率、世界で1.5%と予想 近年では低水準に

Aleoks/shutterstock.com

 人材組織アドバイザリー企業のコーン・フェリー・ヘイグループは、2018年の世界各国の報酬動向調査結果を発表した。2018年の実質昇給率の世界平均は1.5% 上昇の予測で、2017年の2.3%、2016年の2.5%予測と比較して低い水準となる見込みだという。なお、実質昇給率とは、昇給率予測からインフレ率を調整した数字を指す。

◆アジアにおける実質昇給率
 アジアにおけるインフレ調整後の実質昇給率は2.8% となる予測で、地域別では世界で最も高い数値だという(2017年は4.3%)。

                                                                                                                 

 その中でも、中国は2017年の実質昇給率予測が4%だったのに対し、2018年は4.2%と引き続きの伸びることが予測されている。一方、日本は2017年2.1%から0.5%のダウンし、1.6%になる見込みだ。ベトナム4.6%(2017年7.2%から2.6%のダウン)、シンガポール2.3%(2017年4.7%から2.4%のダウン)など、アジアのほとんどの国では、実質昇給率が2017年より減少することが予測されている。

◆北米、ヨーロッパの動向
 アメリカの2018年に予想される2%のインフレ率調整後の実質昇給率は1%で、2017年の1.9%より低下する予測だ。また、カナダの実質昇給率は0.9%となる見込みだ。

 東ヨーロッパの2018年の平均昇給率は6%の上昇が見込まれているが、インフレを考慮した実質昇給率は1.4%で、2017年の2.1%より低下する。西ヨーロッパの実質昇給率は0.9%と予想されており、西ヨーロッパに比べて東ヨーロッパはやや良好といえるだろう。Brexit以降、不確実性が続いているイギリスでは、実質昇給率はマイナス0.5%になる見込みだ。インフレ調整後の実質昇給率が1.9%だった2017年と対照的な結果だ。

◆アフリカはインフレが賃金上昇をもたらす
 アフリカでは、平均昇給率が8.5%だが、これは高いインフレによってもたらされるもので実質昇給率は2017年の0.7%から1.7%の上昇にとどまる見込みだ。 エジプトでは、昇給率は15%の増加だが、高いインフレ率(18.8%)を反映すると、実質昇給率はマイナス3.8%となるという。

◆中東は小幅な上昇
 中東地域の実質賃金上昇率は、2017年の2.5%に対して0.9%の予測だ。アラブ首長国連邦の実質昇給率はマイナス0.5%、ヨルダンは実質昇給率が6.3%から1.6%、レバノンは6.1%から1.8%に落ち込むことが予測されており、中東地域で2017年比最大の落ち込みとなる見込みだ。

◆中南米・太平洋地区
 中南米地域の平均昇給率は6.2%へと上昇が予測されており、インフレが緩やかになることから実質昇給率は2.1%となり、2017年の1.1%から上昇する見込みだ。また、オーストラリア/ニュージーランド地区のインフレ調整後の実質昇給率は0.7%と予測されている。

 コーン・フェリー・ヘイグループの岡田 靖代氏は、こうした調査結果について以下のようにコメントをしている。

「世界の多くの地域でインフレ率の上昇により、実質昇給率が低下します。報酬の増減は、役割、業界、国、地域によって異なりますが、平均して見ると1年前より実質昇給率が伸びていないことが明らかです。日本でも2017年に比べインフレ率上昇のため、実質昇給率は落ち込みが想定されます。政府による賃上げ要請も続く中、企業の戦略的優先事項と支払い余力を考慮した効果的な昇給実施が企業人事には求められます」

Text by 酒田宗一

Recommends