オフィス勤務に回帰 世界で柔軟な勤務形態縮小の兆しか

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 外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンが発刊する「ヘイズ・ジャーナル」は、最近、柔軟な勤務形態を廃止する回帰的な動きがみられるとして、その危険性について警鐘を鳴らしている。

◆柔軟性を制限するオフィス勤務形態への回帰
 柔軟な勤務形態の提供は、組織と従業員に非常に大きな恩恵をもたらしており、結果としてアトラクション、リテンション、エンゲージメントのすべてが向上する事が実証されているにもかかわらず、柔軟性を制限したオフィス勤務形態に回帰する組織が出てきていると、ヘイズは指摘しています。

 ヘイズのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジ氏は、「最近では多くの企業が、勤務形態や勤務時間に関して従業員により柔軟な選択肢を提供できるようになっていますが、企業のトップは、これがビジネス上理にかなっているのかどうか、チームの力学にプラスの影響を与えているのかどうか問い始めています。その結果、柔軟な勤務制度が制限されるケースが出ています」と述べている。

 こうした企業の動きに対し、ヘイズは従業員に対する柔軟性の制限には危険が伴うと警告している。経営者と従業員の間に緊張が生まれる可能性があり、それが忠誠心、士気、エンゲージメント、リテンション、アトラクションに影響を及ぼすためだ。

 ブラジ氏は次のようにアドバイスしている。「企業には、そもそも柔軟勤務形態のオプションを導入した目的について考えてもらいたいと思います。必要なスキルを持つ従業員を引きつけたりとどめたりすること、あるいは従業員の士気を上げることが目的であれば、柔軟な勤務オプションを廃止することで再びこうした問題が持ち上がります。実行可能な解決策はないか、両者が共に満足できる妥協点はないか考えてみることです」

◆柔軟な勤務形態を実現するためには
 柔軟な勤務形態を通じて、従業員は勤務時間と勤務場所を自由に選択できるため、これによって意思疎通の問題が生じる場合がある。また、オフィス勤務でない場合、従業員にある程度信頼を置く必要もあるだろう。

 この点についてブラジ氏は、「デジタル化によって、熟練した従業員が柔軟かつ効率的にリモート勤務できるようになり、この進化する状況の中で新しい役割へのニーズが高まっています。テクノロジーが急速に発展する中、今後組織は従業員を適応させることにより集中して取り組むことが可能になります」と述べている。

 今後の課題点について、ブラジ氏は次のように結論づけている。「熟練者が不足する分野では、柔軟な勤務形態を採用する組織が競合企業相手に求職者を勝ち取るケースが多くなっています。柔軟な勤務形態を縮小すると、リテンションが低下するリスクが非常に大きく、この点からも柔軟なオプションは今後も有効に作用するでしょう。ただし、従業員にはオフィス外勤務でどういったことが期待されているか知らしめ、さらに企業の中核となる価値観を理解させる必要があります。企業は、才能ある従業員を失いたくない以上、合意点を見つけざるをえません。リモート勤務で行える作業と、同僚との共同作業もしくはやり取りが必要な作業を特定するというのも一つの妥協案です」

Text by 酒田宗一

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