遺体を堆肥にして埋葬 スウェーデン発「プロメッション」、考案科学者の思いとは

撮影 Satomi Iwasawa

 遺骨を使って、故人のダイヤモンドを作る「メモリアル・ダイヤモンド」のサービスが、日本で人気のようだ。亡くなった愛しい人と目に見える形でずっと一緒にいたいというのが多くの依頼の理由だが、墓を持たなくていいからという理由もあるという。通常の墓を持たないでいいという考えはヨーロッパでも見られる。

 スウェーデンのプロメッサ・オーガニック社(2001年設立)は、火葬なしで遺体を粉にし(金属は除去)、堆肥化して草木の栄養にできる新しい埋葬法を開発した。この方法「プロメッション」は利点が多いと、支持する人が増えている。

◆遺体をフリーズドライ化
「地中の浅い部分に、遺体だけ埋めても、火葬後の遺骨をそのまま埋めても堆肥化しません。特別な方法が必要です」。そう語るのは、プロメッサ社を設立したスーザン・ウィーグ-メサクさんだ。

 生物学者で、オーガニックの花や野菜を育てるのが大好き。15年以上も前のこと、自宅から出る余った食べ物でコンポストを作っていたときに、自分がもうこの世にいなくなったら、遺体を同じように肥料にできるはずと思いついた。研究を重ねて発明したのが、「プロメッション」という方法だ。

「プロメッション」は、遺体を液体窒素に浸して凍結させ、フリーズドライ化する。体重の約30%になった粉末を、小型の生分解性の棺に入れて、土の浅い部分に埋める。土中の浅い部分は微生物やバクテリアが豊富なため、約1年で腐植土になる。(詳しい方法は、下記ビデオを参照)

 ウィーグ-メサクさんは、技術者チームと一緒に豚100匹で実験を行い、この方法なら大丈夫だと確信を持っている。現在も学者や技術者らと、さらなる研究を進めている。第1号施設が準備中で、近いうちに、「プロメッション」の装置を披露する計画だ。

◆環境にやさしい、墓地不足にも役立つ
 世界中の関心が、この埋葬法に集まっている。マスコミからの問い合わせは、設立当初から今まで絶えないという。

 同社では、無記名登録で賛同する人を募っていて、登録者をプロメッサフレンドと呼んでいる。2017年10月下旬の時点で、世界に3500人以上いる。日本からの登録もわずかながらある。

 支持を得る理由は、環境問題を軽減できる点だ。土葬だと、エンバーミング(遺体の防腐処置)が原因で、埋葬後に地下水源が汚染される。火葬だと、多量の燃料が必要で、燃焼排ガスなどが大気中に放出される。燃焼時に排出する水銀の問題もある。

 また、場所を取らないという利点もある。一人分はおおよそ1メートル四方で足りる。

◆生物学者だからこそ、この方法を広めたい
 スウェーデンでは、公的な手続きの関係で実用化はまだ始まっていないものの、進展している。オランダとスペインとアメリカなど数ヶ国では正式なパートナー会社が見つかり、2016年秋から葬儀関連業者や病院などを中心に、プロメッションについて詳しい情報を提供している。ネットワークはさらに広まっており、「スペインかドイツで、まず始めることができるかもしれません」とスーザンさんは話す。

 同社が、プロメッションをビジネスとして広めようとするのは、「死者を、尊厳ある愛情を込めた方法でケアする」という理念があるからだ。

 多くの人たちは、慣習に従い何の疑いもなく墓を作る。もし墓を作らなければ、死者を尊ぶことを放棄しているとみなされるだろう。だが、スーザンさんは次のように言う。

「多くの国々で、オーガニックライフが目指されていますが、実は人間自体もオーガニックなのです。ほとんどの人が知らないと思いますが、オーガニックという言葉には『炭素を含む』という意味もあります。人体を構成する元素には炭素が含まれていますから、人間はオーガニックなのです。つまり、人間は自然の一部であり、祖先が作り出したしきたりに従うのではなく、土となることが本当のありかたなのです」。

「実を言うと、遺体を堆肥化できるという考えは、私が発見したのではありません。生物学者なら、自然が遺体をどう扱ってくれるのかわかっています。私は、人間は自然の一部だということを世界中の人たちに、もっと伝えていきたいのです」

 死に関して堂々と話しているのは、日本的感覚からすると驚かされる。同社の考えは、日本の人たちにもアピールするだろうか。

Text by Satomi Iwasawa

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